自民党。いわずとしれた2020年の与党のひとつである同時に、戦後の日本を動かし続けた巨大政党でもあります。
戦後日本の成長は自民党の成長であると言っても過言ではないでしょう。しかし、その正体を詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか?そこで今回は歴代の総裁をピックアップしながら追っていくことにより現在の姿を明らかにしていきたいと思います。
この記事の目次
自民党の基本情報
自由民主党は1955年に結党された保守政党です。略称は自民党です。
自民党は保守合同による誕生以来1993年から1994年の非自民連立政権と2009年~2012年の民主党政権の期間以外はすべて与党でした。創設から65年の間でで60年間与党ですからとてつもない勢力と人気を持っていることがわかります。
自民党のデータ
党員数:1,086,298人
(2019年12月31日現在)
衆議院議席数
284 / 465 (61%)
(2020年6月17日現在)
参議院議席数
112 / 245 (46%)
(2020年6月17日現在)
総裁:菅義偉
現在、第一党であり、総裁の菅義偉が総理大臣となっています。
公明党と連立政権を組んでいるとはいえ、衆参両議院における議席数は圧倒的であり、名実ともに日本を代表する政党と言えるでしょう。
自民党の設立
1955年、当時の日本は保守・革新の両勢力ともに分裂状態が続いており、さながら戦国時代のようでした。
そこで、政党政治の発展及び進歩のための「二大政党制」を望む国民世論の高まりを受けて、そして日本社会党の統一による焦りを感じた鳩山民主・緒方自由両党総裁による会談が開催され「保守勢力の終結」という方向性に弾みをつけました。
これをきっかけとして事態は急展開し、民主・自由両党から選出された政策委員会で、新党の基礎づくりが急がれました。そしてついに結党へと至ります。
大事なのは、分裂状態の悪い影響が危惧され、「大同団結」を目指し、動きが活発になったということです。
そして「二大政党制」を夢見ていたということです。未だ日本では実現に至っていませんが、結党当初の意思を知っておくことはとても大切です。
自民党の政策
自民党の政策は簡単に言えば保守・親米・自主独立です。
これは1955年に結成した時に作られた1955綱領にもしっかりと載っています。
ポイント
1955年綱領
1.民主主義、文化的民主国家。
2.平和と自由、自主独立。
3.公共の福祉、個人の創意と企業の自由、経済の総合計画、民生安定と福祉国家。
憲法を改正してこそ真の独立!
今やいのやいの言われている憲法改正。
なんでそこまでして自民党は憲法改正に意欲を燃やしているのかというとそもそも作った当時から憲法改正が自民党の悲願でもあったのです。
自民党は「党の使命」において日本国憲法を日本の弱体化の一因としており、日本が自国で憲法を作ってこそ正しい民主主義となると考えているのです。
今では自民党内でもハト派といった人は憲法改正にはあまり乗り気ではないのですが、基本的には自民党の人々は憲法改正に意欲を燃やしていると思ってもらっても構いません。
自由経済の推進
自民党は自由主義経済をモットーとしています。上の綱領の3番目に当たります。
なので自民党はなるべく法人税をあげることをよしとしません。そもそもバックに企業系の団体がついているために余計に増税はしません。
さらに政府が経済に介入することもほとんどしておらず、企業にとても優しい政党でもあるのです。
また安倍首相はアベノミクスで景気回復を行うことを掲げて「財政出動」「金融緩和」「成長戦略」の3本の矢で長期のデフレを脱却し、名目経済成長率3%を目指します。
マスメディアは賛否両論ありますが、実際にこの6年で確かな実績を残してきたことも事実です。
自民党の派閥
自民党は一応は一つの党ですが、自民党の最大の特徴が自民党で派閥が分かれており、それぞれ対立していることです。
今ではあまり対立が起こることは少なくなりましたが、中選挙区制の時代は自民党ではなく、どの派閥の人がという方の意識が強かったほどでした。
現在自民党には派閥が7つありますが、その中でも最大派閥は岸信介の意思を継いだ清和政策研究会(細田派)で、2位が志公会(麻生派)、3位が佐藤栄作・経世会の流れを継いだ平成研究会(竹下派)と続いています。
自民党の支持団体
自民党はいわゆる企業や農家からの支持が厚いことで知られています。
次はそんな自民党の支持基盤となっている支持団体の代表的な2団体についてみていきましょう。
日本経済団体連合会
日本経済団体連合会は簡単にいうと大企業の集まりです。自民党は自由経済を維持しているので企業からしたらとても嬉しいのでバックについています。
もちろん、自民党も経団連の支持はとても心強いものであるため、法人税を削減するなど大企業を優遇する政策が多いです。
農業工業組合(JA)
日本の農業を支えている農協も自民党の大きな支持母体です。
もちろん農家さんにも選挙権はありますのでここの票田も非常に自民党は大切にしています。
しかし、近年の様々な改革によって近年ではちょっと仲が悪くなりつつあります。
自民党の重要人物
●初代総裁:鳩山一郎
1956年初代総裁に鳩山一郎が就任すると国民的人気が爆発します。いわゆる"鳩山ブーム"です。その結果自由民主党は選挙で圧勝。社会党を圧倒したのでした。
政策面でも様々な成果を残しましたが、鳩山内閣時代の一番の業績は、戦後の長い外交懸案だった日ソ国交の正常化でした。長らくこの問題に腐心した鳩山は「日ソ共同宣言」の調印をもって国交正常化に持ち込んだのです。
鳩山内閣の代名詞と言えば、この「日ソ国交正常化」に他なりません。もしかしたら彼がいなければ、ロシアと今も貿易をしていなかったかもしれません。
さらにソ連との国交正常化によって日本は国際連合に参加することができるようになりました。それくらい日ソの国交正常化は日本にとっては大きな出来事でした。
●第3代:岸信介
1957年岸信介が首相の座につき岸内閣が発足しました。
3年カ月にわたる岸内閣時代の最大の成果は有名な「日米安全保障条約の全面改定」です。この条約の改定は大きく世論を動かすことになります。俗に言う「安保闘争」です。左翼勢力の激しい集団暴力で日本は大きく揺れますが、最終的には締結となりました。「日本がアメリカの属国になり続けるきっかけとなった」とも言われますが、悪い面だけではありません。従来の不平等な日米安保条約を改善するという意味もあったのです。
この日米新安保条約はアジアと世界の安定に寄与したばかりではなく、戦後の奇跡的な経済復興の礎にもなり、自民党にとってもそして日本にとっても大きな条約締結であったことは間違いありません。
●第4代:池田勇人
1960年、池田勇人が総裁に選ばれ、新しく池田内閣が登場しました。これをもって世界的にも類をみない経済的繁栄の時代が幕をあけました。池田内閣が打ちだした所得倍増計画は、とても有名ですよね。
国民総生産を十年間で二倍以上、国民の生活水準を西欧先進国並みに到達させるという経済成長目標を設定した大変意欲的なものでした。
この成果は大変な恩恵を国民にもたらし、計画以上の経済成長を日本にもたらしました。
今日の日本の経済的繁栄のロケットスタートを切ったのもこのときだったと言ってもいいでしょう。
●第5代:佐藤栄作
1960年に佐藤栄作が首相の座につき佐藤内閣が発足しました。
佐藤栄作は「人事の佐藤」と呼ばれており首相在任期間は安倍晋三、桂太郎に次いで歴代3位、連続在任期間は歴代2位の2,798日で非常に安定した政権運営をしていました。
佐藤栄作の最大の功績が1972年の沖縄返還。これによってこれまでアメリカ領であった沖縄が正式に日本となりました。
また「非核三原則」を訴えたことが国際的にも評価されて日本人唯一のノーベル平和賞も受賞しました。
●第6代:田中角栄
政治にまったく興味がない方でも一度は名前は聞いたことがあるかと思います。
ロッキード事件などで「金権政治」の権化として今では批判を受ける対象でもあります。しかし、数々の画期的な政策も実行してきた張本人でもありました。そのひとつが「日本列島改造論」です。これは田中角栄が自民党総裁選を翌月に控えた1972年に発表した政策、およびその内容の著書の名前です。
この内容とは端的にいうと「都市だけではなく、地方にもお金を投下しどんどん開発していくよ!」ということです。そしてそれにより地方分散を推進するという方向性です。この「日本列島改造論」が事実上の公約となり、翌年の総裁選で勝ち、内閣総理大臣となりました。
この内容の裏側にあった田中の精神性を紐とくと、自身は新潟の田舎出身という事実にいきつきます。だからこそ地方にシンパシーがあったし、地方を活性化させることが日本の道だと思ったのではないでしょうか。
●第11代:中曽根康弘
アメリカのロナルド・レーガン大統領と「ロン・ヤス」という名称で呼び合っていたことでも有名ですよね。意外と知られていませんが、国鉄、電電公社、専売公社、日本航空の民営化を達成した事績が顕著です。いわゆる新自由主義の典型的な政策です。
これすごいですよね。おそらく守旧派=既得権益からかならりの抵抗にあったことは間違いないです。それでも彼だからやった。彼だからできた。強権で次々と実行していきます。現代ではあまり考えられないですが、こういう人物が現代でこそ求められていることも確かです。
●第20代:小泉純一郎
ここくらいまでくると知っている人も多いのではないでしょうか?その政治手腕はさることながら、XJAPANのファンを公言したりするなど親しみやすい人柄で人気もありました。その小泉さんの代名詞ともなった政策が「郵政民営化」です。
小泉純一郎が実現させたものです。郵政民営化とは簡単にいうと、「国有企業の郵政事業を解体して民間企業に改組しよう」というものです。これは当時のアメリカ政府やアメリカの保険企業らからしつこく要求されていたものでもあります。
当時は既得権益から相当に抵抗を受けていました。当然ですよね。どんなものにも既得権益というものはあり、それで暮らしている人にとってみたら一大事です。しかし、小泉さんはやり遂げました。それは彼がいい意味で「暴君」だったからです。
「暴君」と言えば聞こえは悪いかもしれませんが、何かを急激に変更する場合は、こういう存在も非常に大事になってくるのです。
●第21代・25代:安倍晋三
父は自民党政調会長、自民党総務会長、自民党幹事長を歴任した安倍晋太郎、祖父に第3代総理大臣の岸信介を持ついわゆるサラブレッドです。
「保守」とか「右派」とよく言われていますよね。総理大臣になる前には小泉内閣で官房副長官をやっていました。基本的には保守で日朝首脳会談が開催されたときには最後まで北朝鮮に強硬な姿勢だったと言われています。
反面、総理大臣になってからは他国に強硬な姿勢というよりは、宥和的な姿勢が目立ちます。特に印象的なのは外交ですよね。積極的に外交政策を実行していた印象があります。そんな安倍さんが最終的に目指していたのが憲法改正です。
「今の憲法はGHQに占領時に強制的につくられた憲法だ。だから日本人の手でもう一度新しい憲法と作り直すんだ!」というのが大まかな主張です。
また、安倍首相はアベノミクスを掲げて「財政出動」「金融緩和」「成長戦略」の3本の矢を打ち出して経済成長を打ち出したりもしました。
まとめ
自民党は1955年の結党以来、ほとんどの期間与党に居座り続けてきています。そのため、自民党の政策や自民党の歴史を知ることは戦後の日本を知ることといっても過言ではありません。
しかし、2020年9月に菅義偉が自民党総裁となり内閣総理大臣に就任しました。日本政治の大きな流れが変わろうとしているのかもしれません。
今後の自民党に目が離せませんね!