スポンサーリンク

ニュース 日本史

自衛隊の存在は憲法違反なのか?自衛隊の歴史と役割についてわかりやすく解説!

今年の7月の九州地方を中心とした豪雨被害や昨年の台風による豪雨被害など近年日本列島はたびたび自然災害に襲われています。そのたびに自衛隊による救援活動がマスコミなどで報道されます。自衛隊の存在が身近に感じられ、好意的に思う人は多いのではないでしょうか。

一方で、自衛隊の存在について、憲法に違反しているのではないかとの論争が以前から繰り広げられています。これから、この違憲論争について見ています。

自衛隊発足の経緯

1950年に朝鮮戦争が起こり、そのとき日本へ進註していた在日アメリカ軍の主力が国連軍として朝鮮半島に展開することになりました。このことから進駐軍の指令によって、同年日本政府は国内の治安維持を図るため警察予備隊を創設しました。この警察予備隊の創設が自衛隊のはじまりです。その後、1954年に自衛隊法が施行され自衛隊が誕生したのです。自衛隊の誕生によって、日本は第二次世界大戦敗戦後、外国からの攻撃に対して戦うことを任務とした組織が誕生することになったのです。

なお、自衛隊法では、自衛隊の任務、自衛隊の部隊の組織・編成などが定められています。

第二次世界大戦敗戦後の日本は、1951年のアメリカとの対日講和条約と日米安保条約の締結を経て翌年の4月28日に主権を回復し、独立国家として国際社会に復帰しました。しかし、防衛に関しては、日米安保条約によりアメリカの軍隊の駐留を認め、直接侵略に対する防衛はアメリカ軍に依存することになりました。

自衛隊の任務と組織

自衛隊の主な任務は、自衛隊法に基づき日本の平和と独立を守り、国の安全を守ることにあります。国の安全を守ることとは、直接侵略及び間接侵略に対して日本を防衛することを言います。

陸上自衛隊・海上自衛隊・航空自衛隊の三つの部隊が組織されています。日本の自衛権を行使するための組織と言えます。最高指揮官である内閣総理大臣、隊務の総務である防衛大臣のもと文民統制がしかれています。管理は防衛省があたることになっています。

直接侵略とは外国による武力を直接行使した日本への侵害のことであり、間接侵略とは外国が日本への侵害を目的として人員や武器などが支援し、支援された者が日本国内で武力行使を行う場合を指します。

自衛隊は主たる任務の他、風水害や地震などの自然災害が発生した場合に人命救助や復旧・被害者への生活支援を行います。また、PKO(国際連合が実施する平和維持活動)などの国際平和協力活動にも参加しています。

自衛隊をめぐる違憲論争

自衛隊をめぐっては、自衛隊の存在が憲法に違反しているのではないかとの論争が以前から繰り広げられています。いわゆる戦力の不保持論争です。まずは、論争の元となっている憲法第9条を見てみましょう。第2章の戦争の放棄に謳われています。第2章はこの第9条一つだけです。

メモ

第9条 (戦争の放棄、戦力及び交渉権の否認)

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する

2 前項の目的を達成するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない

ここで、国権の発動たる戦争とは、国家が行う国際法上の戦争のことです。

戦力の不保持論争

第2項では戦力の不保持について規定しています。現在の自衛隊は戦力を保持しており、違憲であると主張する人達の主な意見を見てみましょう。次の通りです。

第1項において全ての戦力が放棄されている(条文を素直に読んだ場合の意見です)

第1項の規定では自衛戦争は放棄されていないが、第1項の趣旨を受けて第2項で戦力の不保持と交戦権の否認が規定されている。このことから全ての戦争が放棄されたとみなすべきである

現在の自衛隊が保持している戦闘機などの武力を考えれば、戦力を有していると言わざるを得ない。第2項で規定する戦力に該当する

これらの意見に対する反論は、「第1項で規定している条文の目的は、国際紛争を解決する手段としての戦争放棄を示しているものであり、自衛戦争や自衛のための戦力を放棄するものではない」などとしています。

政府の見解

政府の見解は、「自衛隊のような自衛のための任務を有し、その目的において必要相当な範囲の実力部隊を設けることは憲法に違反するものではない」としています。また、交戦権に関しては、「憲法上自衛権は否定されておらず、国際法上我が国を防衛するための必要最小限度の実力を行使することは当然に認められている」との立場をとっています。

国際法とは、国と国との関係を維持するための法律です。国際人権法のような倫理的なものや国家間の領域に関するものなどがあります。それぞれの国の主体を守る法律です。

忘れてはならない憲法の基本理念

憲法には、憲法の基本理念が書かれている前文があります。この基本理念を礎として具体的に規定されたのが条文になります。いわば前文は、条文の前提条件を示しているとも言えます。第9条に係る前文は次の通りです。

『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した』

前文を分かりやすく書き換えると、『外国の人達が日本の領土や日本国民の安全を決して脅かすことがないことを信じて、日本は戦争を放棄し、戦力を不保持とすることにしました』と言えます。

憲法は、1947年(昭和22年)に発布されていますが、日本をとりまく情勢はどうでしょうか。自衛隊の発足当時は、世界は冷戦下にあり、主に旧ソ連からの日本国内への大規模侵攻に備え、アメリカ軍が応援に来るまでの持久戦を戦うことを想定していました。しかし、90年代以降の旧ソ連の崩壊に伴ってそれは変化してきました。しかし、近年は中国による尖閣諸島周辺への領海侵入や領空侵犯、北朝鮮による核兵器や弾道ミサイルの能力増強と挑発行為、韓国による竹島の占有問題など日本の領土や国民の安全を脅かす情勢にあります。違憲論争をされている方は、果たして憲法の基本理念を踏まえて論争されているのでしょうか。疑問を抱かざるを得ません。

 憲法改正

自衛隊の存在は、憲法第9条をめぐって様々な条文の解釈がなされ論争が戦わされています。政府は、日本国が独立国である以上、主権国家としての自衛のための自衛隊を保有することは憲法上認められるとして、様々な解釈が生じる現行の条文を改め、自衛隊の存在を明確化しようとしています。

ここで自衛権に触れたいと思います。自衛権とは、外国から自国が武力で侵害されたときに自国を守る権利です。国際法上の権利として認められているものです。自衛権には二つの種類があります。自国に対する武力による侵害を排除するための権利であるとする個別的自衛権と、自国を含む他国に対する武力による侵害を排除するための権利であるとする集団的自衛権です。我が国がいずれの自衛権をとるかは今後の課題になります。

まとめ  

自衛隊の発足の経緯、自衛隊の任務と組織、自衛隊をめぐる違憲論争を見てきました。自衛隊の存在が違憲か否かの論争をする前に他に論争すべき問題があるのではないかと思います。現憲法は、第二次世界大戦の反省からアメリカを中心とした進駐軍によって、日本が二度と戦争をしないようにとの意図をもって日本に押し付けた憲法です。日本が真の独立国として現実に即した誇れる憲法を持ちたいものです。憲法問題については我々国民一人一人が考え、国会の場でも一日でも早い議論を願う思いです。条文の文言の解釈をめぐるだけの不毛な論争だけは避けたいものです。

スポンサーリンク

こちらもおすすめ!

1

ニュースや新聞で世界情勢の話題になったとき、「国際連合」というワードを聞いたことはありませんか?最近でいうと昨年、環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんが各国首脳の前でスピーチして話題になりました。中学 ...

2

1914年から1918年にかけてヨーロッパでは第一次世界大戦が繰り広げられていました。 そしてこの戦争はヨーロッパの体制を根本から崩すこととなり、現在にもつながる影響も残すことになったのです。  今回 ...

3

世界の政治体制は、それぞれの国によって違っています。同じ民主主義国家でも、国によって大統領制をとっている国、議員内閣制の国と、政治体制の採用が違っているのです。 日本は、御存じの通り、議院内閣制を採用 ...

-ニュース, 日本史
-,

© 2021 レキシデセカイ Powered by AFFINGER5