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政治用語

衆議院の優越とは何なの?どんな時に使われるのかについてわかりやすく解説!

2020年6月4日

世界の政治体制は、それぞれの国によって違っています。同じ民主主義国家でも、国によって大統領制をとっている国、議員内閣制の国と、政治体制の採用が違っているのです。

日本は、御存じの通り、議院内閣制を採用しています。我が国と同じような体制を採用している国として、よくイギリスの名前が挙がります。日本の首相やイギリスの首相は、国民が直接選挙で選出しているわけではありません。彼らは、国民が選出した議員から首相として選ばれているのです。

我が国の議院内閣制に対し、大統領制は直接選挙で選ばれます。海の向こうのアメリカがよく知られていますね。

議院内閣制は具体的にどんな制度?

議院内閣制は、内閣と議会が分離しています。

首相や国務大臣で組織される内閣は、国会議員の中から選出されています。国会議員で組織される議会は、行政の運営を内閣に付託しているのです。議会には、衆議院と参議院という二つの議院があり、その両院で成り立っています。どちらも対等であるべき国民の代表なのですが、必ずしも両議院は同じではありません。実際は、衆議院の優越が認められています。

では、衆議院の優越はどんなものか、ご紹介していきます。

衆議院が優越する理由

衆議院と参議院で意見がことなり、国政が滞ることがないように衆議院の優越を認めています。では、なぜ参議院ではなく衆議院の優越がみとめられるのでしょう?

衆議院と参議院には、相違点がいくつかあります。人数を比べると衆議院は465人、参議院は245人で、参議院議員数は衆議院の約半分ぐらいです。任期も衆議院は最長で4年間、参議院は6年間で3年ごとに半数が改選されます。

また、衆議院はたとえ任期中であっても解散があります。一方参議院には、解散はありません。これらの違いにより、衆議院の方が参議院より、多くの民意を国政に反映しやすいと考えられています。

日本は民主主義国家ですから、より多くの民意に反映されやすいものに重点を置いているのです。

衆議院の優越項目

では、これから衆議院の優越について項目別に説明します。

予算の先議権

「予算先議権」(憲法60条1項)は憲法で「予算は、さきに衆議院に提出されてなければならない。」と書かれています。

予算先議権は、予算に関して衆議院が先に先議・議決できるという意味です。

予算がない、つまりお金がないでは、国費の支出や法の執行ができないことになります。したがって予算を決めることは、国の機能を止めないためにもとても重要なことなのです。この規定は、予算が決められないことで、混乱が起きる事態を避けるために設けられたものです。

では、予算以外に先議権はあるのでしょうか?憲法上、先議権が認められているものは、予算以外ありません。

予算案の議決

憲法60条2項には「予算について、参議院で異なった議決をした場合に、法律の定めるところにより両議院の協議会を開いても一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取った後、国会休会中の期間を除いて30日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする」とされています。

これは、どんなことを言っているのでしょうか?

つまり、予算案の議決で衆議院の優越が使われるケースは、次のような場合になるということです。

ポイント

① 衆議院と参議院で予算案についての意見がそろわないときは、両院協議会を開きます。さらに両院協議会を開いても意見が一致しない場合は、衆議院の優越の対象になります。

② 参議院は衆議院の議決を受け取った後、30日以内に議決しなければなりません。もし、30日以内に参議院が議決しなければ、衆議院の議決が国会の議決になります。

法律案の議決

法律案の議決に関する衆議院の優越事項として次の二つがあります。

憲法59条2項「衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決した時は、法律となる」とあります。つまり、法律案を再議決する場合、参議院がその法律案に意義を申し立てても、衆議院で、出席議員の3分の2以上の特別可決で、再可決すればその法律案は成立します。

また憲法59条4項には「衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に議決しないときは、衆議院は参議院がその法律案を否決したと見なす。」あります。

この場合も、衆議院が参議院で否決され、法律案の再議決になると、再び衆議院で可決されるとその法案は成立します。この憲法59条2項と憲法59条4項は、どんなに参議院が意見を出しても上記のようなケースに該当すると、参議院の意見は無視されることになります。

ここで、もう1点、注目すべきことは、「再議決」です。

案を通すために60日の待機期間を設け、もう1度議決をして賛成多数を得なければならないという点です。

予算の議決とは違い、両議院で議決が異なる場合、衆議院での再議決が必要になります。

条例承認の議決

憲法61条「条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する」とあります。

前条第二項とは、予算議決の条文であり、条例承認の議決は予算議決の規定を準用します。条例承認の議決についても衆議院の優越を認めています。

つまり、両議院協議会で折り合いがつかない、30日以内に参議院が考えをまとめないときに、衆議院の議決が国会の議決になります。

しかし、予算と違って先議権はないため、両議院のどちらが先に条約の承認の決議を行っても、憲法上の問題はありません。

内閣不信任決議権

憲法69条「内閣は、衆議院で不信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。」と書かれています。

特にポイントは「衆議院で」と書いてある点です。内閣の不信任決議、信任の決議は参議院では行えません。衆議院のみに与えられている権利だからです。

いったん、不信任決議案が決まった場合、内閣は10日以内に総辞職か、衆議院を解散しなければなりません。

内閣総理大臣の指名

憲法67条2項「衆議院と参議院とが異なった指名の議決をした場合、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。」とあります。

内閣総理大臣の指名は予算の議決と似ています。しかし、衆議院での「議決後10日間」と期間は短くなっています。また、法律案の議決のときのように、衆議院での再議決はありません。

内閣総理大臣の指名は、日本の政界のトップにふさわしい人物を両議院から1名ずつ指名します。両議院議員からの指名される人が、同じであれば問題はありません。もちろん、同じ人物が指名されることもあります。しかし違う人物を指名することもあります。そのためいつまでも総理大臣が決まらないような事態になっては大変です。

総理大臣が決まらず、政治がストップしたままになったら、日本は大変なことになります。

万が一、他国が攻めてきたら、どうしますか?

首相の命令なしでは自衛隊も自由に動けません。ですから、国政を絶対に停滞させないように、衆議院の意思が優先されるのです。

以上が、憲法で認められている衆議院の優越の内容になります。しかし、憲法上だけではなく、国会法でも衆議院が優先される権限があります。では、これからその国会法上の衆議院の優越事項を見ていきます。

国会法上の優越

国会法上、衆議院の優越事項は、次の3つを上げることができます。

ポイント

① 国会会期の延長

② 臨時会・特別会の会期延長

③ 法律案に関して両院協議会の開催請求

①②の延長については、両議院双方の折り合いがつかないとき、参議院が考えをまとめないときに衆議院の意見が尊重され、決められてしまいます。そのため、多くの場合、参議院は会期延長については、議論を行っていないのが現状です。

③の法律案に対する意見がまとまらないとき、協議会の開催を求めることができるのも優先権に含まれます。もし、そこで決着がつかないとき、衆議院の持つ優先権が最終的に発動されることになります。

衆議院の優越は民意の反映

日本は議院内閣制で衆議院と参議院で成り立っています。両議院は、お互いにチェックをし、ほとんど対等な権限が与えられています。しかし、参議院と意見が対立したり、参議院が議決をしないとき、国政を停滞させる結果になりかねません。そのようなときには、衆議院の優越という権限が行使されるのですね。

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