社会主義とは、経済体制を示す言葉であり、その対極として社会主義のほかに資本主義があります。
これまでの歴史を見ても、社会主義国と資産主義国による戦争や国の分断など歴史を学ぶ上で重要になっていきます。
今回は社会主義と資産主義のこれまでの歴史をはじめ、社会主義について詳しく解説していきたいと思います。
この記事の目次
そもそも社会主義、資本主義とは?
まずは社会主義と資本主義の違いから見ていきましょう。
社会主義とは
社会主義国の特徴は、平等な社会だけど国の経済は成長しにくいというところです。
社会主義国の経済制度は、資産のための土地も道具も儲けたお金も国家が管理します。
平等に管理されているからこそ、国民の貧富の差がないのです。しかし、世界から見て社会主義国は経済的に停滞する傾向があります。経済を成長させるような労働者が増えにくい制度だからです。国民は、いくら仕事を頑張っても結果は変わらないと思うことで意欲が下がり、社会主義国の経済が成長しにくくなっているのです。
資本主義とは
社会主義に対するのは資本主義といいます。
資産主義の特徴は、土地や道具も個人の所有で自由にお金が儲けられるけど国民に貧富の差が生まれてしまうというところです。
土地や道具も個人が自由に所有することができ、個人でお金を儲けることが出来ます。資本主義国の国民は、自由にビジネスができ、成功すれば自分で儲けることが出来ます。
そのため、意欲的に働く人が多く出てきて資本主義国の経済も成長しやすい傾向になるのです。
社会主義は社会を中心に、資本主義は経済を中心に物事を進めていく国の方針の違いです。
社会主義の始まりは資本主義の貧富の差から!?
先に誕生したのが、資本主義です。
資産主義の始まりは、18世に起こった産業革命がきっかけです。産業革命とは、工場に機械を導入し大量に生産できるようになった革命です。資本主義は、産業革命によりイギリスで工場を作った人が労働者をたくさん雇い、効率良くお金を設けたことがきっかけとなっています。
資本主義が浸透するにつれて、国民の中で貧富の差が広がっていきます。社会主義は資本主義による貧富の差、環境問題、労働環境の悪化などの問題点をもとに、マルクスというドイツの思想家によって唱えられました。
それから、社会主義国家のソビエト連邦(ソ連)が誕生し社会主義という考えが広まっていきます。
社会主義国と資本主義国の歴史と現在
社会主義の誕生から少し後にロシア革命によって歴史上初になる社会主義国家のソ連が成立しました。
このソ連はレーニンによって打ち立てられましたが、レーニンがなくなるとソ連の最高指導者、ヨシフ・スターリンが社会主義陣営の中でも特に影響力があった重要人物です。ヨシフ・スターリンは強制的な政治であり、さらに自分の政治を反対する農民を処刑するなど恐怖政治を展開させます。
第二次世界大戦後、冷戦が続きます。冷戦とは、世界のリーダーシップをめぐり、社会主義国と資本主義国による対立した44年間のことを言います。
冷戦は武器などを使った争いではなく、理解しあえていない状態なので、武器などの直接争う「熱戦」と対句の「冷戦」とよばれるようになりました。社会主義と資本主義によって3つの国が分断されました。そのうちのドイツが1990年、ベトナムが1976年に再び統一しました。
しかし、社会主義国の北朝鮮と資本主義の韓国は現在も朝鮮戦争が休戦状態にあり、和解していないのです。
社会主義国の混乱と資本主義の勢力拡大
そんなヨシフ・スターリンが1953年に死去します。そこから次々と、社会主義国のなかで紛争が起こるようになります。そんな中、資本主義国はニューディール政策や福祉国家などといったアメリカやイギリスを中心とし勢力を上げていきました。
資本主義の問題点であった貧富の差をも克服し、資本主義で安定した社会が実現するようになります。
そして、1989年にドイツの中で社会主義派と社会主義派で分断していた東ドイツと西ドイツの境界にできたベルリンの壁が崩壊され、ほとんどの社会主義国が社会体制を改めました。
社会主義の現在
現在、ほとんどの国が資本主義国になりましたが、5つの国が社会主義で国が運営されています。
アジアでは中華人民共和国(中国)、ベトナム、ラオス、北朝鮮、中米ではキューバが社会主義国になっています。しかし、北朝鮮以外の社会主義国では、中国が導入した市場経済により経済を活性化させる社会主義市場経済によって経済の停滞を改善しながら進めています。また北朝鮮でもチュチェ思想という考え方を採用しており、純粋な社会主義とは言えなくなっているのが現状です。
社会主義や資本主義とは、国の経済制度の言葉
社会主義と資本主義の違いを理解することで、第二次世界大戦後からの冷戦やこれまでのドイツやベトナムの分断、現在の韓国と北朝鮮の関係についてより理解が深まります。また、歴史や社会を学ぶ上で、民主主義という言葉が出てきますが、民主主義はその国の政治体制を示す言葉です。
経済体制の言葉と政治体制の言葉をきちんと区別をつけておきましょう。