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日本史 経済用語

労働三権ってなんなのか?その内容をわかりやすく解説!

毎年5月1日になると「メーデー」という日があります。学校に通っていた頃、突然自習時間になるあの日です。これは労働三権にて教員が保証された権利を行使している日なんですが、具体的に「労働三権」と聞かれて正確に応えられる方は少ないと思います。

そこで今回は、労働三権の分かりやすい説明とその歴史について説明していきたいと思います。

労働三権の3つの権利って何?

日本は法治国家、つまり法律によって全ての権利や義務が規定されている国ですので、今回説明する労働三権も法律によってきめられている権利です。

労働三権を規定している法律は、誰もが知っている日本の法律の大本である日本国憲法です。その日本国憲法の28条にはこのような条文があります。

メモ

勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

 

この条文が労働三権を簡潔に規定したものです。しかしこれでは権利が3つもあるようには読めず難解です。

これを分かりやすくすると下記の3つの権利に別れているとされています。

ポイント

団結権

団体交渉権

団体行動権(争議権)

ではそれぞれの権利を見ていきましょう。

団結権って何?

労働三権の1つ目である「団結権」とはどういう権利なのでしょうか?

日本における未成年者と退職者を除く多くの国民は、生活をしていくために何らかの仕事をしており、その多くはサラリーマンと呼ばれ、会社に属して労働をしています。

労働者は、基本的に雇われている会社(雇用者)から給料をもらい生活をしていますので、個人的に「給料を上げて欲しい」「休暇をもっと欲しい」と思い会社に要求をしても、雇っているのは会社側ですから立場が強く要求が通ることが少ないと思われます。

そこで会社に雇われている労働者同士が集まって団体を作り、集団で待遇の改善を要求できる権利を定めたのです。通常多くの会社には「労働組合」と言うものがあると思います。この労働組合が団結権によって認められた組織なのです。

団体交渉権って何?

団結権によって労働組合を組織しただけでは、簡単に言うと会社の待遇に不満を持つ労働者が集まっただけで、実際に待遇が改善されることはありません。

そこで2つ目の権利である団体交渉権が認められました。

団体交渉権というのは、団結権によって組織した労働組合が、労働者の待遇に関する事項に限り、会社(雇用者)側と対等な立場で交渉をできる権利です。

また労働者側に有利な条件として労働組合が交渉を申し入れた場合、会社(雇用者)側は、正当な理由がない限りその交渉を拒否できないことになっています。もし政党理由がなく拒否した場合は、不当労働行為ということになり役所の中にある「労働委員会」という組織から交渉をするように会社(雇用者)側に命令が下ります。

団体行動権(争議権)って何?

労働者が、待遇改善のために組織を作る事(団結権)と必要な時に会社(雇用者)交渉をできる権利(団体交渉権)を与えられましたが、例えば労働組合が「賃金を5000円上げて欲しい」と要求し、会社側と交渉しても「賃金を上げることはできない」と言われてしまえば、話はそこで終わり要求は達成できません。そこで要求を達成させるために会社側が要求を飲むような実力行使をしなければなりません。

そこで3つ目の権利である団体行動権(争議権)が認められました。

団体行動権(争議権)は、労働者の組織である労働組合の要求を達成するために実力行使ができる権利です。

この実力行使には、様々な形態があり就業時間つまり働いている時間内にみんなで集まりデモをすることや、会社内に要求事項を書いたビラを貼る事、一番過激になると仕事を交渉がまとまるまでボイコットするストライキがあります。

最初に述べた学校の教員がメーデーの日に行うのは教職員の労働組合による集会で、このために生徒はその時間、自習となるのです。

現在の日本では、最も過激な団体行動権(争議権)の使い方であるストライキはとんと聞かなくなりましたが、海外では最近ではフランスのフランス国鉄(SNCF)やパリ交通公団(RATP)という公共交通機関が、自分たちの年金が減らされることに怒り長期間のストライキを行っていたという事実があります。

日本にてストライキが盛んだったのは、終戦から高度成長時代の前までの間の国民の生活が苦しい時でした。

昭和30年頃からの高度成長時代以降は、景気がよくストライキをせずとも給料がどんどん上がっていくという状態になりましたのでストライキは減っていきます。その後、「1億総中流化」とも言われる経済大国に成長し、皆がそこそこ豊かになり、労働組合の組織力も落ち、会社と喧嘩するよりほどほどに仲良くしていこうと考える労働組合が増え、益々実力行使であるストライキは減っていきました。

労働三権を認められていない職業がある?

これまで労働者に認められている労働三権について説明してきましたが、この労働三権を認められていない職業がある事をご存じでしょうか?

その職業というのは、公務員の中でも警察職員・消防職員・海上保安庁職員・自衛隊員・刑務所職員です。この5つの職業には労働三権の全てが認められていません。なぜでしょう?

これらの職業は、国民の生命・財産・治安を24時間守っている職業だからです。例えば、消防士が「給料が安い」とストライキを起こしたらどうなるでしょう?

ストライキ中に起こった火事は誰が消すのですか?ということです。

しかし労働三権を認められていないといって待遇が悪いという事はありません。これらの職業は、一般の平均年収から比べると優遇されています。

次に労働三権の一部が認められていない職業もあります。

その職業というのは、非現業公務員とよばれる職種の方です。簡単に言うと役所にてその県や市の運営に関与している公務員の事です。この職種の人たちは団体交渉権、団体行動権(争議権)を認められていません。つまり労働組合に入ることは認められていますが、それ以上の行為をすることができません。

その理由は、公権力を行使できる立場の人たちだからです。

最後に現業公務員、公共企業体職員、特定独立行政法人の職員(国家公務員)には、争議権のみが認められていません。つまり職務をボイコットするストライキはできないのです。前に述べた公立学校の先生はこれに当たります。学校の先生がストライキをしていたら生徒は困りますよね。

世界と日本の労働三権の歴史

それでは、労働三権は世界のどこで生まれ、いつ日本に導入されたのでしょう?

労働三権が文章化され初めて制定されたのは、イギリスで1871年の労働組合法成立と言われます。元々をたどると1848年にドイツの思想家であるマルクスとエンゲルスが発表した共産党宣言でいわゆる今や廃れてしまった社会主義の源流と重なります。元々は社会主義というのは労働者の権利を追求するための考え方だったのです。

労働者の「もっと稼ぎたい」「同じ給料なら楽をしたい」という欲がないというあまりにも理想的な考え方を基にした社会主義はソ連崩壊があったように廃れてしまいますが、その真逆の資本主義の世の中で労働三権という形で一部が残っています。

さて世界では19世紀には労働三権は確立されていましたが、日本ではいつ導入されたのでしょうか?

最初に述べた通り労働三権が制定されたのは1946年に公布された日本国憲法においてです。つまり太平洋戦争前には、労働者の権利と言うものは存在しなかったのです。労働者は搾取され弾圧される存在でした。

しかし世界から遅れること約70年でやっと権利を手にしたのでした。

まとめ

労働三権を簡単にまとめると

・会社に給料を上げて欲しいけど、一人で言っても聞いてくれないからみんな集まろうぜ!【団結権】

・集まった仲間の要求を集めて会社の人と交渉をしよう!【団体交渉権】

・交渉したけど会社が全然いうことを聞いてくれない。だったら私たち妥協してくれるまで仕事はしません!【団体行動権(争議権)】

となっています。

一見関係ないように思うかもしれませんが、昨今ブラック企業という言葉が浸透している今だからこそ労働者の権利をわからなければならないのですね。

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