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経済用語 豆知識

日本の労働組合の歴史や問題点とは?労働組合の作り方も教えます!

会社に勤めていると耳にすることが多い「労働組合」ですが、どんなことをする団体かご存知ですか?

今回は日本における労働組合の歴史や今後の展望について詳しく解説していきます。

また日本で独自に発展した二種類の労働組合や労働組合の問題点に関しても紹介。最後には労働組合の作り方もご紹介していきます!

労働組合とは?

そもそも労働組合とは、雇用される側が自主的に組織する集団のことで、主に次のような項目を組織の共通目標としています。

ポイント

・賃上げの要求

・雇用人数の増加

・長時間労働の削減

・ハラスメント対策

・労使間の契約交渉の維持

労働組合とは上記のような組合員の雇用維持や労働環境のアップを目標として、会社側と交渉を行う集団のことを指します。

個人が会社の上層部を相手に交渉することは大変難しいため、労働組合が働く人を代表して会社側との話し合いを対等に行えるようにするためのものです。

労働組合は「労組(ろうくみ・ろうそ)」とも呼ばれ、ユニオンという名前や、単に組合と呼ばれることもあります。

日本の労働組合の成り立ちと種類

労働組合の始まりは1824年のイギリスにまでさかのぼります。

それまで労働者の組織的な活動は「団結禁止法」により認められていませんでしたが、同年この法律が廃止されました。そして新たに「労働者団結法」が制定されたことにより労働組合の結成が公に認められました。

1800年代の後半になると職業別の労働組合が各国で結成されるようになり、世界的に労働組合を結成する運動が活発化してきます。
では日本では労働組合はどのような広がりを見せたのでしょうか?

日本の労働組合の歴史

日本に労働組合が入ってきたのは明治30年(1897年)。アメリカで労働組合運動を経験した社会科学者・高野房太郎らによって、日本で初の労働組合「労働組合期成会」が結成されました。この会は日本初の労働機関紙を発行するなど、日本の労働組合史の礎を作りました。

1946年(昭和21年)3月には日本で労働組合法が施工され、その後わずか一か月間に3,000組合余りの労働組合が誕生することとなりました。

1970年以降になるとオイルショックの影響から景気への不安が高まり、労働者の不満と共に様々な労働運動が全国各地で勃発。これにより労働組合が次々と作られ、急激に成長することになります。

日本の労働組合は二種類

元々世界で主流だった労働組合の形は「産業別組合」と呼ばれるもの。これは会社や組織の枠を超えて、同じ職種に従事する労働者が加入できる労働組合のことです。
日本では多くの産業別組合があり、主な組合には次のような種類があります。

ポイント

・全国建設労働組合総連合

・全日本海員組合

・全日本自動車産業労働組合総連合会

・全国繊維化学食品流通サービス一般労働者組合連合

1970年代に全国規模に広がった労働組合ですが、もともとは現場労働者、いわゆるブルーカラーだけの組織がほとんどでした。

それが戦後になると現場労働者だけでなく、ホワイトカラーと呼ばれる事務系社員も含めた工職混合の組合が誕生します。

これが企業別に労働組合を持つ「企業別組合」の始まりとなりました。

現在の日本では労働組合と言えば企業別組合が主流です。それは日本ならではの二つの理由からと言えます。

一つ目は経営者側の思惑によるもの。

戦中戦後のアメリカ占領時代を経て、会社の経営者側は、共産主義運動の広がりを恐れるようになりました。特に共産主義に傾倒しやすいとされていたのが、階級意識が高く過激になりがちな産業別組合です。そこで産業別組合を作らせる代わりに企業別組合を作るように促したとされています。

もう一つの理由は海外と労働組合の成り立ちが違うということにあります。元々欧米では職種の技術を次世代に伝え、労働環境を守るために労働組合の基となる組織が作られました。

日本では組織の枠を超えた技術継承があまり見られないため、産業別組合がそれほど発展しませんでした。このような理由から日本では産業別組合よりも企業別組合が増えてきました。

労働組合というと、経営者VS労働者という構図が目に浮かびます。

しかし戦後の日本では労働者の間で階級意識というものがあまり意識されていませんでした。そこで当時の現場労働者は経営者と対立するよりも、同種他社で同じ仕事をしている労働者と対立する動きが多かったようです。

ポイント

日本の全国的連合組織

日本労働組合総連合会(連合)
全国労働組合総連合(全労連)
全国労働組合連絡協議会(全労協)

春闘とは?

労働組合に関連する言葉として「春闘」というものがあります。この春闘の意味や成り立ちについて見ていきましょう。

日本では先ほどご説明した通り、経営者とではなく同種他社の労働者と対立する傾向にありました。

とはいえ自分の労働環境を改善する手段として、会社との話し合いが必要となることがあります。場合によっては要求を貫徹するために「ストライキ」を起こすという選択肢も考えられます。

しかしストライキを決行してしまうと、自社の業績が悪化して結果としてライバル会社に有利となる可能性が高まります。市場のシェアをライバル会社に奪われかねない恐れがあるため、企業別組合は単独で行動を起こすことが難しいと気づきました。

そこで産業別組合にも加入していた企業別組合同士で時期を合わせ、同時に賃金アップや労働環境の改善を経営側と交渉するようになりました。これが「春闘」の始まりです。

こうした交渉方法は新年度に向けて、主に2月~3月に行われるため「春闘」と呼ばれるようになりました。

1990年代までは自動車や鉄鋼、電気機器や鉄道などの産業別に交渉が行われてきました。しかしバブル崩壊から始まった平成の大不況からは産業別の交渉は減り、企業別で行われるように。

現在の春闘は一部の大手企業に限定されており、中小企業では協議の場すら設けられていないという問題点があります。

日本の労働組合の問題点

ここでは日本の労働組合の問題点について見ていきましょう。

中小企業では労働組合組織率が低い

そもそも従業員数99人以下の中小企業では、労働組合の組織率は非常に低く0.8%程度とされています。日本の労働者の約7割が中小企業に所属していることを考えると、労働組合に所属している労働者は非常に低いことになります。

つまり組織的に経営者側に対して賃上げ交渉ができないということ。これが日本の景気が長期的に上向かない大きな要因にもなっているのではないでしょうか。

有期契約労働者は参加できない

そしてパート従業員やアルバイト、契約社員といった有期契約労働者は労働組合に参加することはできません。もちろん直接会社と雇用契約を結ばない派遣社員も除外されます。

このような正社員以外の労働者が増えつつある日本では、今までとは異なる全く新しい形の労働組合が必要なのでは?と考えます。

企業別組合では労働者の意見が通りにくい

企業別組合では労働者の意見が採用されにくいという問題点があります。

日本では終身雇用制度が失われつつあるとはいえ、多くの正社員は定年まで同じ会社で働くことを前提としています。また多く場合、会社の業績に応じてボーナス額が決められています。

春闘で交渉できる一部の大企業を除いては、経営側からの圧力もあり労働時間や残業を減らす交渉は難しいのが現状です。特に会社の業績がそのままボーナス額に反映する会社の場合、ボーナスが減るのでは?という懸念から積極的に意見を出すことすら躊躇してしまうことがあります。

労働組合の作り方

労働組合ってなんだか難しそう…と思っている方に、実は労働組合はそれほど難しくなく作れるということを解説していきます。

①組合員を集める

労働組合というのは団体になりますので、発起人を含めた2人以上の同意があれば作ることができます。とはいえ組合員が少ないと職場で孤立してしまう恐れがありますので、なるべく多くの組合員を集める必要があります。
最低でも過半数の従業員が参加できれば、その後の活動がしやすくなります。

②法律に基づく組織作り

労働組合というのは労働組合法という法律で定められた団体です。

つまり労働組合法に基づいて、組織の名称や事務所の所在地、組合規約などを決めなければなりません。

③組合大会の開催

労働組合法に基づいた組織作りが完了したら、組合大会を開催します。

これは組合規約などを決議により承認するための会で、この決議を経て初めて組合規約の効力が発揮されます。作った労働組合が法的に認められるようになるには、組合大会の決議が必ず必要になるのです。

まとめ

日本の労働組合というのは、欧米から入ってきて独自の遍歴を経て産業別と企業別へと発展してきました。しかしながら中小企業では組織率が低かったり、そもそも有期契約労働者は参加できないなどの問題点があるのも事実です。

労働組合を作るだけならそれほど難しくありませんが、実際に機能させるには道のりは長いものになるでしょう。
そしてこれまでの終身雇用・正社員雇用制度が過去のものになりつつある今の日本では、健全な労使交渉を可能にするために、新しい形の労働組合を作るべきであると考えます。

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