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日本史

リクルート事件とは何なのかその原因と影響について解説!

2020年5月23日

バブル期における2大汚職事件として「ゼネコン事件」と並んで紹介されることが多いリクルート事件。
この事件は、その後の「政治の在り方」に大きく影響することとなりました。
リクルート事件とは一体何だったのか、その後の日本にどう影響したのでしょうか。起因となった出来事、発覚したきっかけ、事件の顛末を解説していきます。

リクルート事件の概要

リクルート事件とは、1988年から1989年にかけて暴露された戦後日本における最大の汚職事件のことです。
リクルートとは皆さんご存知就職関係で有名な企業であるあのリクルートです。
このリクルート事件によって当時の竹下登内閣は総辞職。90年代の自民党の衰退を決定づけ、社会党が躍進するきっかけとなりました。

リクルート事件の経緯

リクルートの創始者でありこの時のリクルートの社長でもあった江副浩正は政治家に取り入れられて安定した地位を確立するために頑張っていました。今でこそ大企業として安定した企業ですが、リクルート社はまだ安定した基盤を築いていなくて「もしかしたら他社に追い越されてしまってリクルートが潰れてしまうかもしれない!」という危機感を抱いていくことに。
そこで彼は当時まだ未公開だったリクルート社の子会社であるリクルート・コスモスという会社の株を政治家に対して譲渡。政治家に対してものを贈ることは基本的には収賄罪に問われます。
しかし彼はこの未公開株の取り引きを藤波孝生元官房長官をはじめ100人に対して行いました。
そして、1986年にこのリクルート・コスモスの株が株式公開。この当時株の暴騰が開始しており、例にももれずリクルートコスモスの株は人気となり高騰します。
あげた人の株による利益は全部合わせて6億円となる金額だったそうです。

ココがポイント

未公開株ってなに?

未公開株というのは簡単に言うとまだ株式公開していない企業の株のことを言います。

このリクルート事件はこの未公開株を議員にあげた理由で大騒動となったのですが、未公開株をあげることによってどんなメリットがあるかと言うと、やっぱりお金を儲ける可能性がとても高いことです。

株というのは株式を上場したらほとんどの確率で価値が上がります。そのため議員は未公開株をもらうことによって莫大な利益を得る可能性が非常に高くなるのです。

しかし、これはれっきとした賄賂。政治家として一番やってはいけない行為です。

戦後最大の企業犯罪

1988年6月18日。川崎駅西口の再開発において、川崎市の助役へリクルートコスモス株(以下コスモス株)が譲渡されたことを朝日新聞社がスクープしました。
高層建築を可能にさせるよう便宜を図ってもらうことを目的としたものでした。
このスクープをきっかけに、時の首相をも巻き込む一大スキャンダルへと発展していくことになるのです。
マスコミ各社にて更なる調査・報道が続けられ、時の総理大臣である竹下登氏、前総理大臣の中曽根康弘氏、副総理で大蔵大臣であった宮沢喜一氏など、90人を超える政治家に当時未公開株であったコスモス株が譲渡されていたことが明らかとなりました。
また、譲渡先は政界だけでなく、当時の日経新聞社社長やNTT経営者など、その範囲は拡大していったのです。
国会でこの問題を追及していた衆議院議員の楢崎弥之助氏)へ、リクルートコスモス社社長室長だった松原宏氏から「一連の事件に関する追及について、手心を加えてほしい」という理由で面会を求め、楢崎氏の議員宿舎や自宅にまで押し掛けました。
この時、楢崎氏は「面識がない人間から何度も贈賄を提案されます。これは罠なのか非常に不審に思う」と、同じ党の江田五月氏に相談します。
楢崎氏は日本テレビ記者の協力を得て松原氏との会談の隠し撮りを実行。リクルート事件関係者を告発する記者会見を開きました。
さらに、同日夜には協力者である記者の所属する日本テレビの報道番組にて、会談のビデオ映像が全国へ向けて放送されました。
この放送が一連の報道が汚職事件であることを確固たるものにしたのです。

終結

東京地検特捜部はリクルート創業者である江副浩正氏ら贈賄側と、藤波孝生元官房長官ら収賄側の合計12人を起訴し、全員の有罪が確定しました。
しかし、中曽根元総理や竹下総理など、政界で顔役の「大物」と呼ばれる政治家は立件すらされませんでした。政界では自民党・藤波孝生氏、公明党・池田克也氏が受託収賄容疑で在宅起訴。
他には政治家秘書などの4人が政治資金規正法違反により略式起訴されたにすぎませんでしたが、地検は捜査の終結を宣言し

この事件は終了となるのでした。
リクルート事件の捜査上で、竹下登在東京秘書であった青木伊平氏に対し取り調べを行っていました。
青木氏に関してはリクルートから5000万借り入れがあったことはすでに調べがついていましたが、事務所の出納記録を確認したところ「事件性なし」という結論に達していました。このことは地検の上層部はもちろん、青木氏本人にも伝えられていました。
しかし、朝日新聞によってこの借金の話が明るみになりました。
事件の最中であり、その渦中の竹下総理の秘書であったため、過熱気味に報道がなされ、当然のように世論が動きました。

これにより、竹下首相は「国民に政治不信を招いてしまった責任は大きい」とし、退陣を表明するに至ります。
翌日、青木氏は自殺しています。退陣に追い込んだ責任からなのか、別の理由があったのか…その真相は闇の中です。

リクルート事件の影響

この事件は譲渡先が政財界だけでなく、民間企業やマスメディアの経営者にまで範囲が及んでおり、実際の利益供与となる根拠が薄かったために大物といわれる政治家については立件ができなかったという背景があります。

1.世論の反応

次期総理としての呼び声が高かった阿部晋太郎氏、宮澤喜一氏、渡辺美智雄氏らの有力候補は軒並みこの事件に関わっており、竹下氏が退陣直後に自民党の顔役になることはありませんでした。
というのも、有権者である国民の政治不信を招いた根幹であるこの事件に、「関係している疑いがある」というだけで世論の反発は必至だったためです。

2.新内閣の発足

その後、1989年6月3日 宇野内閣が発足、閣僚には事件と関係が薄い人事が組まれ、イメージアップを図るも、就任後間もなく宇野首相自身に女性問題が発覚します。
このスキャンダルの他、「消費税の導入」「牛肉・オレンジの輸入自由化」「リクルート事件」“逆風3点セット”と揶揄され、直後の参議院選挙にて大敗(結党以来の単独過半数割れ)を喫したのです。
この選挙結果を受け、責任を取る形で宇野内閣は解散しました。実に在任期間69日という短さでした。

事件から得たもの

ただ、宇野氏の在任期間に公職選挙法の改正がなされ、「収賄罪などの容疑で有罪が確定した公職政治家は失職する」という規定ができました。
有罪が確定した段階での失職のため、実刑であろうと執行猶予であろうと失職することとなりました。
さらに、「政治改革」が重要なテーマとなり、現在の選挙制度である小選挙区比例代表並立制をはじめとした選挙制度改革、政党助成金制度の開始、閣僚の資産や年収の公開を一親等にまで範囲を拡大するなど、大きな変革が起こりました。

政治と金は根深き問題

最初の段階では、果たして賄賂罪として成立し得るのかという説もあったのですが、社民連楢崎氏の一件で様相は一転、地検も本腰を入れて捜査しました。
マスメディアの助長もあり、世論が大きく動いたのです。現在も拠出金、政治資金の透明性などについて叫ばれています。
「政治とカネ」はどの時代においても問題となっていますし、クリーンであるに越したことはありません。理想論というかもしれませんが、政治家ならば理想を語るのも仕事の内ではないでしょうか。

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