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世界史 経済用語

サブプライムローン問題ってどうして起こったの?起こった理由やリーマンショックとの関係まで解説!

2020年5月19日

「サブプライムローン問題」という言葉を聞いたことがありますか。2007年頃、米国の住宅購入用の住宅ローンが不良債権となり、それがもとで世界的な不況が起きました。マイホームを持つことは誰の夢でもあるかもしれません。それが容易に手に入る住宅ローンは、とても魅力的に見えたに違いありません。デベロッパーと銀行が手を組んで、どんどん家を建てては売りまくりました。しかし、世の中が不況になると高額の負債をかかえた住民は買ったばかりの家を手放すしか手がありませんでした。その後、米国ではリーマン・ショックが起き、ドミノ倒しのように世界的に不況が広まり、世界は暗黒の闇に包まれたのです。この問題は過去の事件ですが、実は現在でも身近に起きるかもしれない問題なのです。本記事では「サブプライムローン問題」について、分かりやすく解説いたします。

サブプライムローンの構造

米国では、1970年代からモーゲージ担保証券(MBS)が発達してきました。連邦住宅抵当公庫(Federal National Mortgage Association)がモーゲージ担保証券を発行しました。通称ファニー・メイ(Fannie Mae)やフレディ・マック(Freddie Mac)などがありました。政府支援機関の一形態として、1977年以降は、株式会社形態の民間会社です。その仕組みは次のようなものです

① ファニー・メイやフレディ・マックなどの連邦住宅抵当公庫は、住宅ローンを貸し付けた銀行から、その債権を買い取り、不動産投資をしやすくして、マイホームの保有を促進する目的を持っていました。

② ファニー・メイやフレディ・マックは、1977年に民営化された後も、モーゲージ担保証券は政府機関が売る債権と同一視され、住宅モーゲージ担保証券(RMBS)は信用力がありました。2008年以降の金融危機以降は、米連邦住宅金融庁(FHFA)の監督下に置かれています。

③ 住宅ローン担保証券(RMBS)は、債務担保証券(COD)という証券に形を変えて、金融商品として欧州の金融機関にも売られました。利回りが高く、銀行や投資家には魅力的な商品でした。

 

これによって、最終的なリスクは、債務担保証券(COD)を購入した金融機関や投資家に移ることになりました。

住宅ローンの破たん

サブプライムローン問題はアメリカで2007年に起きました。それまで、アメリカでは住宅の販売価格が高騰を続けていました。住宅の購入は、投機の対象ともなりました。ローンを組んで購入した住宅を高く売れば、儲けがでるという時代でした。

サブプライムローンと住宅建設の悪循環

住宅の販売価格とサブプライムローンとの相乗効果で、住宅購入の需要が高まると、建設業者は次々と住宅を建設しました。価格の上昇は、ローンの借り換えもしやすくなり、低所得者層もローンの返済に苦労することがありませんでした。もし、ローン返済に困ったら、売れば良いと言う安易な気持ちがあったことは否定できません。しかし、米国の金融当局(FRB)が金利を上げたことがきっかけとなり、一般の金融機関はお金の貸し出しが難しい状況になりました。同時に住宅建設の供給過剰になったことから、販売価格の下落が始まりました。ローン返済に困った人々も、住宅の転売をしても損失が出ると言う状況に陥ってしまいました。そのため、たくさんの不良債権を抱えた金融会社は倒産の危機に直面しました。これが、「サブプライムローン問題」と言われるものです。

世界経済に与えた影響

サブプライムローン問題は、ファニー・メイやフレディ・マックなどの連邦住宅抵当公庫へは、政府支援機関がさまざまな支援を行いましたが、悪化の歯止めが効きませんでした。2008年9月になって、アメリカ合衆国財務省が、追加支援として約3兆ドルを決定しました。
この時、大手投資銀行グループのリーマン・ブラザース・ホールディングスが、負債額約6000億ドル(約64兆円)という米国史上最大の企業倒産をしました。それがきっかけとなって世界規模の金融危機が発生しました。いわゆるリーマン・ショックです。(ちなみにリーマン・ショックは和製英語です)

大手の金融機関が次々に破たんし、ニューヨーク市場の株価は、暴落を引き起こしました。それは、欧州の市場にも影響し、株価の暴落が起きました。欧州の金融機関は、バブル時に米国の住宅ローンに関する証券を購入していたからです。米国と欧州の株価の暴落は、たちまち世界の市場に大きな影響を与えました。

サブプライムローン問題から学ぶこと

「サブプライムローン問題」は、日本の経済には間接的な影響を与えました。日本の金融機関は、サブプライムローン問題に関わる債権には、あまり手を出してはいませんでしたので、直接の影響は少なかったのですが、リーマン・ショックの与えた世界的な経済の冷え込みから、ドルの下落が続き、日本の輸出産業に大きなダメージを与えました。
日本の経済の不況を「失われた30年」と言われますが、最初の10年間(1989年~1998年)は、日本のバブル崩壊期で、不良債権に苦しむ銀行などの再編成が行われました。しかし、なかなか不良債権処理が進まず、15年に渡って続けられました。

これに対して米国では、2007年のサブプライムローン問題やリーマン・ショックが起きましたが、サブプライムローン問題は、わずか9カ月で処理が行われました。金融機関の大合併を行い、経済の立て直しを図りました。有名なグループとしては、シティグループやJPモルガンチェースがあります。

米国で急増する金融商品「CLO」と新型コロナウイルス危機対策

現在米国で急増している「CLO」(Collateralized Loan Obligation)という金融商品があります。「ローン担保証券」と呼ばれています。サブプライムローンは個人向けの住宅ローンでしたが、このローン担保証券は企業向けのものです。米国も低金利で企業がお金を借りやすい状況にあります。しかしそれでも信用力のない企業はたくさんあります。そうした企業に貸し付けられた債権を証券化したものが「CLO」です。金利が高いのが魅力となり、その規模は、総額約6000ドル、日本円にして約64兆円になっています。米国の中央銀行制度の最高意思決定機関のFRB(The Federal Reserve Board)のパウエル議長は、2019年5月20日の会議において、「これはサブプライム住宅ローン危機の再実行である」から「ここでは心配することは何もない」と言っています。しかし、今回のコロナ危機に対して、パウエル議長は、米国史上かつてない米国経済や金融市場への大打撃に対処しようとしています。大手企業への広範な融資の他に、中小企業向けの融資の買い入れ計画があると言います。この他議会民主党から、低格付けの地方自治体債の買い入れも連邦準備制度(FRB)に望む声があります。

気になる日本の住宅ローンは大丈夫か

2016年に日銀がマイナス金利を導入し、日本では住宅ローンが最低水準まで下がってきています。マイホームを購入したいと思う人々には、嬉しいことです。2020年以降、全国で建設や計画されている超高層マンションは、10.3万戸にもなっています。その多くは首都圏で8割近くを占めています。
多くの人々が、東京オリンピックに期待を寄せて、首都圏の超高層マンションの人気は高まるばかりでしたが、今回の新型コロナウイルスの問題から、先行きが心配されています。新型コロナウイルスの影響により、2020年3月16日に日本銀行が金融市場や経済の動揺を抑えるために金融緩和策を発表しました。このため、各銀行の住宅ローンの金利については大きな変化は出ていません。

すべての物には裏がある

「赤いバラには棘がある」ということわざがありますが、魅力的な金利には隠れた大きなリスクがあるのです。超高層マンションは人気の的で価格は高値で安定しています。低金利の住宅ローンを組んで購入する若いカップルの方たちもかなりいるようです。銀行は、ローンを勧める際にリスクは言いません。良い事ばかり言われれば、その気になるかもしれませんが、冷静にリスクを見直して慎重に決めるべきです。「サブプライムローン問題」は、生きた教科書です。2007年の過去の事件ではありますが、意外と身近な問題だということがお分かりいただけたと思います。

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