スポンサーリンク

豆知識

公共の福祉っていったい何なの!?内容や事例についてわかりやすく解説!

2020年11月20日

公共の福祉と聞いて、みなさんはどのようなイメージが浮かんでくるでしょうか?福祉という言葉を聞くと、『誰かに尽くす・奉仕するもの』というイメージが思い浮かぶかもしれません。

憲法で規定されている「公共の福祉」。実際のところは、その具体的な意味についてピンとくる人は少ないのではないでしょうか。
今回はこの公共の福祉について、その内容を分かりやすく解説するとともに、具体例をあげてご紹介していきたいと思います。

そもそも公共の福祉ってなに?

公共の福祉とは、けっして公的な施設や福祉団体の名称ではありません。公共の福祉とは憲法で規定されている人権に関する内容を指しているのです。

そもそも日本国憲法の基本は、国民の人権を守るために定められています。国民1人1人それぞれの人権が尊重され、守られなければいけません。

ですが、社会の中では当然人との関りがあります。それぞれの人達が自身の権限だけを主張し合っていては、いずれは衝突し、破綻の道を進んでしまう可能性があります。

それぞれの人権を尊重しつつ、ともに社会の中で生存していくために「公共の福祉」という言葉で表すようになったのです。

つまり「公共の福祉」とは、『個人の人権を尊重しつつ、それぞれが社会の秩序や平穏を守り、バランスの取れた社会を維持するための基本的人権の制限』と言うことができるのです。

基本的人権について

公共の福祉を語る上で外せない「基本的人権」についても、解説します。基本的人権は、憲法第11条により下記のように記されています。

メモ

【憲法第11条】
国民は、すべての基本的人権の亨有を妨げられない。この憲法が国民に保証する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられる。

先にもご紹介したとおり、個人の人権が日本国憲法の基盤となります。憲法の基本原理である基本的人権は、このように誰しもが持ち得る当然の権利なのです。

公共の福祉が生まれた背景

個人の人権は憲法で規定されているものであり、また法律や憲法が改定されることがあっても決して侵されることは無い、強い権利であることは、上記でご紹介した憲法第11条からもご理解頂けるかと思います。

とは言え、個人個人それぞれが己の人権のみを主張し合っていては、社会生活は成り立ちません。1人1人が異なるように、その権利を主張し合えば、いつか衝突が起こることは明らかです。

いくら当然の権利とは言え、個人としての活動は社会を通じて成り立つものです。社会生活を行っていく上で、そこでの関係性を無視するわけにはいきません。
個人の人権を守るのは大事…それは、自分にだけ向けられている権利ではなく、他人にも存在している権利であることを認識した上で社会生活を営んでいく必要があります。

また、このような権利を制限や規定をしてしまうと、そもそもの基本的人権が成り立たない可能性も考えられます。「公共の福祉」によって、国民1人1人への努力によって社会を保持する必然性を求めているのです。

公共の福祉と日本国憲法

公共の福祉は日本国憲法で規定されていることをご紹介しましたが、その日本国憲法の中で「公共の福祉」は4ヶ所に出てきます。その内容をご紹介します。

メモ

日本国憲法第12条【自由・権利の保持と責任とその濫用の禁止】

この憲法が国民に保証する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。

又、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

<解説>
第12条では、基本的人権である個人の人権(自由や権利)は守られていますが、それを強く主張して自分の意見を固持したり、他人の人権を脅かすことが無いように…ということが記されています。それを「公共の福祉」という言葉を使って表現しているのです。

 

メモ

日本国憲法第13条【個人の尊重、幸福追求権・公共の福祉】
すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

<解説>
個人の基本的人権について、述べられています。個人の自由を尊重するけれども、それは「公共の福祉」に反しない範囲で行うことが名義付けられています。
ようは、他人の権利を侵害してまで自己の主張を固持してはいけない…ってことですね。

メモ

日本国憲法第22条【居住・移転・職業選択の自由、外国移住及び国籍離脱の自由】
1.何人も、公共の福祉に反しない限り、移転及び職業の選択の自由を有する。

2.何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

<解説>
どこに住むか、どんな仕事をするか。例えそれが国内のみならず海外であっても、それは個人の意志が尊重されますよ…ということを名義しています。ただし「公共の福祉」に反しない程度に…ということです。

すでに誰かが住んでいる住居に、自分が住みたいからと割り込んで住み着くわけにはいきません。
あくまで、自分の権利を主張すると同時に、他人の権利も鑑みる必要があるということを明記しています。

メモ

日本国憲法第29条【財産】
1.財産権は、これを侵してはならない。

2.財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。

3.私有財産は、適当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

<解説>
ここで「公共の福祉」が記されているのは第2項になります。
個人の財産は誰もが侵してはいけないと定めていますが、それと同時に他人の財産も侵してはいけません。ですがそうなると、お互いの権限が衝突してしまうケースも考えられます。

そのような場合に、「共通の福祉」によって調整されるのです。調整された利益は、回りまわって、国民全体の利益へと繋がっていきます。

公共の福祉に関する具体的な事例・判例

ではここで、「公共の福祉」に関する具体例をご紹介します。実際に「公共の福祉」に関する事件の判例についても、ご紹介していきましょう。

【事例】喫煙家と嫌煙家

限られたスペースの決して広くない同じ空間に、喫煙家と嫌煙家が居たとします。

喫煙家はタバコを吸いたい…と主張します。嫌煙家は、タバコを吸われたら自分にその煙が掛かるから嫌だ…と主張します。

お互いがお互いの”人権”を主張し合っています。これはお互いが持つ「基本的人権」を主張しており、最もなことです。ですが、このままでは一向に解決することはありません。解決するどころか、このまま平行線を辿れば争いが起きないとも限りません。

では、どうすれば良いのでしょうか?

例えば『窓を開けて、外を向いてタバコを吸う』『お互い背中合わせになった状態でタバコを吸う』『タバコを吸う時間を設ける』など、お互いが納得の行く妥協案を模索行くという方法を考えていく必要があります。

お互いが少しづつ我慢をして、それぞれの接点で妥協するポイントを模索していく。これが「公共の福祉」によってもたらされた制約なのです。

【判例】奈良県ため池条例事件 (事件番号 昭和36年(あ)第2623号)

事件概要
「奈良県にあったため池。その周辺に住む農家では、このため池を水源として利用していました。1954年、奈良県が『ため池の保全に関する条例』を制定し、耕作による利用を禁止しました。一部の農家はこれに納得せず、ため池の使用を続けたところ、条例により罰金刑が課せられたのです。これを不服とした農家側は、ため池を使う権利を財産権と捉え、憲法第29条に反するとして訴えました。」

この農家からの訴えを、最高裁は退けました。
奈良県が条例を設けたのも、ため池の破損・決壊などによる災害を未然に防止するために定めたものであると、最高裁では位置付けたのです。
そのため、継続してため池を使用することは、災害をもたらす要因にもなりかねないと判断されました。

農家が訴える「ため池を財産権とする主張」は一理あるとしても、公共の福祉に照らし合わせた上で、農家達も使用制限を受忍しなければならないと判断されたのです。

まとめ

公共の福祉について、その概要ならびに具体的な事例や実際にあった判例などとともにご紹介しました。

「公共の福祉」という言葉で聞くと難しく考えてしまいがちですが、自分のことを認めてほしいなら、他人のことも認めよう…という、相互の関係であることを前提とした規律であることがお分かり頂けるかと思います。

もしかしたら「公共の福祉」が生まれたのは、日本人が持っている他人を慮る美しい心なのかもしれませんね。
そんな日本人の心を反映する憲法を、大切に守っていきたい…そう思います。

スポンサーリンク

こちらもおすすめ!

1

ニュースや新聞で世界情勢の話題になったとき、「国際連合」というワードを聞いたことはありませんか?最近でいうと昨年、環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんが各国首脳の前でスピーチして話題になりました。中学 ...

2

1914年から1918年にかけてヨーロッパでは第一次世界大戦が繰り広げられていました。 そしてこの戦争はヨーロッパの体制を根本から崩すこととなり、現在にもつながる影響も残すことになったのです。  今回 ...

3

世界の政治体制は、それぞれの国によって違っています。同じ民主主義国家でも、国によって大統領制をとっている国、議員内閣制の国と、政治体制の採用が違っているのです。 日本は、御存じの通り、議院内閣制を採用 ...

-豆知識
-,

© 2021 レキシデセカイ Powered by AFFINGER5