アメリカやイギリス、そして日本などが採用している二院制。日本では衆議院と参議院が国会の二院を構成しています。
しかし考えてみてください。『参議院って本当に必要なんですかね?』
別に参議院が嫌いなわけではありません。そういわれるようになったのにはいろいろな理由があるからなのです。
参議院の役割
参議院は日本の国会の一つで世界的にみたら上院に当たります。
衆議院との最大の違いは選挙のやり方。衆議院は内閣が解散できる権限を持っており、さらには4年で全ての国会議員が議員の職を失ってしまいますが、参議院では3年半改選、解散はなしとなっています。要するに参議院議員となれば自ら辞めない限り、6年その身分が保障されているというわけなんです。
参議院の役割は衆議院で発議された法律案や予算案などを会議するのが主な仕事。
しかし、参議院では予算を決めるのは衆議院が決めてからだとされており、さらには参議院で否決されても衆議院でまた話し合いして出席議員の3分の2が再可決すれば法律案は成立することになっています。(ただ、3分の2の再可決はなかなかのハードルなんですがね)
参議院は衆議院のカーボンコピー?
参議院を表す言葉の一つに『参議院は衆議院のカーボンコピー』という言葉があります。
要するに参議院の役割は衆議院とほとんど同じだから参議院は必要ないやろということなんです。
イギリスの上院は貴族院といって中世以来の伝統的な貴族や一代貴族(特別な業績などを残し、自身のみ貴族となった人のこと)が議員となり国民の軽い民意に流されず慎重に腰を据えた議論ができる場所として機能しています。
(ちなみに、日本も戦前まではイギリスのような貴族院が存在していました)
また、アメリカなどの連邦型の政府は上院は各州の代表が集まる場所という位置づけであり、各州の利益や立場を代表する機関として設置されています。実際連邦制をとる国のほとんどが二院制を採用しており、上院は州の代表、下院は国民の代表としてそれぞれの特徴や位置づけなのが明確にされています。
日本に話を戻しますが、日本の場合だと上院に位置付けられている参議院は衆議院と同じく国民による選挙によって決められます。
つまり、参議院は衆議院と同じ結果になりやすく、そしてさらには衆議院には衆議院の優越というある程度の特権が認められているためますます参議院はいらんという声が上がってきているのです。
もし一院制になるとどうなるの?
ではもしも参議院が廃止されて衆議院のみの一院制になるとどのような問題が出てくるのでしょうか?
参議院だと、いったん衆議院総選挙にて与党が交代しても参議院では同じ状態なため一時期ねじれ国会となる場合が多いです。
しかし、一院制の場合となると仮に衆議院で与党となったA政党が選挙をおこないB党に政治交代をした場合、多数決の原理からB党が法律の改正や廃止などを即刻できるようになります。
つまり、極端な話与党が変わるごとに法律も制度もすべて変わってしまう事態になるのです。
政党が変わると国の方針や法律がころころ変わる。そんな政治を信用できますかという話です。この結果政情不安に繋がり、長期的なスパンの経済政策や社会政策を行うことが難しくなります。
また、一院制だと与党の意見が全反映される可能性も否めませんので、少数派の野党がB党の暴走や迷走を止めることはできずに、簡単に独裁体制を敷くことが可能となってしまうのです。
ナチスドイツがこの手法で一気に独裁化しましたよね。国民が最初からこういう政党を危険視すれば一番良いのですが、今の日本において魅力的な政策を公約に盛り込んだら果たして疑問視することはできるのでしょうか?
参議院は『良識の府』として日本の民主主義を守る位置づけに置かれているのが現在の状態なんです。
解散した時の活躍
参議院が必要な理由に「もし衆議院が解散した時に誰が議会をやるねん」というのもあります。日本では衆議院が解散されたときには40日以内に総選挙を行わなければならないのですが、もしこのときに何かしらとんでもないことが起これば議会が解散しているため対応することができないというデメリットがあります。
だって選挙中に衆議院議員という身分はいませんし。そうなると参議院が必要不可欠というわけなんです。また衆議院と参議院が両日選挙だった場合でも参議院は半改選なんで参議院議員は存在していますしね。そのため参議院では解散中に有事のことがあれば参議院にて代替する緊急集会が開かれることになっています。
今日の名言
『参議院を制する者は政界を制する』佐藤栄作元首相
参議院も日本にとったら重要な機関
いるかいらないかと言われている参議院ですが、その役割を見るとやっぱりなんだかんだで必要不可欠というのは変わりありません。
しかし、参議院の不必要論が巻き上がっているのも事実。行政は改めてこの問題を妥結できるようにしなくてはならないのでしょうね。