“兼六園”といえば、水戸の偕楽園、岡山の後楽園とならぶ日本三大名園の一つと即答される有名な金沢の観光スポットです。
それに加えて国の特別名勝に指定されているとなれば、一度は必ず訪れたい、訪れるべき重要な庭園であることは間違いないでしょう。
まずはじめに、兼六園がどのようにうまれたのか、その歴史を探ってみることにします。
この記事の目次
兼六園の歴史を訪ねて

兼六園は加賀藩5代藩主であった前田綱紀が、金沢城に面した傾斜地に別荘を築くとともに庭園を造ったことがはじまりと言われています。
加賀藩は石高が103万石と江戸時代全体の半の中ではトップの石高を誇り、その城下町の金澤を中心に加賀百万石と呼ばれていました。
この兼六園の基となったこの庭園は、当時“蓮池庭(れんちてい)”と名付けられ、歴代の藩主が接待や宴などのいわゆる優雅な遊びの場所でした。
兼六園の名前の由来
金沢市兼六町に位置する兼六園ですが、由来は町の名前ではなく、「宏大(こうだい)」「幽邃(ゆうすい)」「尽力(じんりょく)」
「蒼古(そうこ)」「水泉(すいせん)」「眺望(ちょうぼう」という景観の6つを兼ねる園という意味があり、そこから名付けられました。
四季それぞれに趣が深く、季節ごとにさまざまな表情を見せるが、特に雪に備えて行われる雪吊は日本を代表する冬の風物詩となっていますね。
藩主から市民へ
江戸時代には兼六園はただ美しいということだけでなく、金沢城を防衛する観点からも重要な歴史があります。
そして長い間、藩主の世界に位置付けられていたこの庭園は、1874年に一般市民に開放れることになり、その流れとともに数多くの“茶店”が開かれるようになりました。
これが現在の古風溢れる金沢の始まりの一つだったと思われます。
1922年に日本の名勝として指定され、1985年には“特別名勝”へとランクアップされました。
明治時代に一般市民への門戸が開かれてから約100年の時を経て、日本を代表する素晴らしい場所として愛され、現在に至っています。
兼六園の見どころ
兼六園にはいつ訪れるのが一番良いか。その答えは簡単です。“一年中ベストシーズン”と言っても過言ではないでしょう。
なぜならそこは、四季折々の姿を私達に見せてくれるからです。
春は桜、夜のライトアップに映し出される夜桜はうっとりするほどです。初夏を迎えると、燕子花、ツツジやサツキ、そして新緑に包まれながら園内を歩く姿を想像するだけでも心地よいです。
秋は紅葉シーズン。“琴柱灯籠”と真っ赤なもみじのコラボレーションは最高です。そして寒さ厳しい冬においても、雪景色の中雪吊りされた木々はまるでクリスマスツリーのようでロマンチックです。
絶対に外せない魅力スポット ベスト7
いつでも私達を楽しませてくれる兼六園の魅力を先ほどお伝えしました。
もちろん、ゆっくり散歩だけでも充分素敵な庭園なのですが、もっとじっくり園内を心ゆくまで楽しんで頂くために、
20か所以上ある見学場所の中から、絶対に外せない、厳選おすすめスポットをご紹介します。
① 琴柱灯籠(ことじとうろう)
2.67メートルの高さを誇る灯籠で、兼六園の代表シンボルです。片足は池の中に立っているというのが特徴です。桂坂口料金所から霞が池に上がるとまず見えてきます。
② 霞が池(かすみがいけ)
5800平方メートルあり、園内で一番大きな池です。亀の形をした島が浮かんでいることや、カモやサギなどの鳥の姿を
見かけることができます。
この池を中心に見どころを散策すると分かり易いでしょう。
③ 唐崎松(からさきのまつ)
琵琶湖畔の唐崎産の黒松で、11月から冬の名物として見られる“雪吊り”はこの松から作業が始まります。
④ 雁行橋(がんこうばし)
別名かりがね橋、亀甲橋と呼ばれているこの橋は並べられた11枚の石が“雁”が飛んでいく様に見えたことから名づけられました。
残念ながら現在はこの橋を渡ることができないのですが、渡れば長生きするという言われもあるので、ぜひ目に焼き付けてみてはいかがでしょうか。
⑤ 虎石(とらいし)
虎がほえているように見える様から、兼六園を守る魔除け石ともよばれています。園内には数多くの石がありますが、この虎石は三名石の一つであり、残り二つは龍石と獅子巌です。
⑥ 眺望台(ちょうぼうだい)
海抜53メートルと言われる場所で、兼六園の6つの兼の一つ“眺望”がまさにここにあります。卯辰山をはじめとして、能登半島方面を見渡すことができる素晴らしい展望台です。晴れている日には最高の休息スポットです。
⑦ 七福神山(しちふくじんやま)
つつじが岡、または福寿山ともよばれており、七福神と称される7人の神様にみなされた天然の石が置いてあります。
自分の願いを叶えてくれる神様の石を探せば、幸せが訪れそうですね。
最後に
加賀百万石の城下町として栄えた金沢。日本三名園、そして特別名勝としてたたずむ兼六園。
一度は必ず訪れたい。そしてリピートするごとに別の顔を見せてくれるに違いない魅力あふれる素晴らしい場所です。
そんな情緒あふれる兼六園に足を運べば、きっと人生観も素敵に変わるかもしれません......。
メモ
交通アクセス
車:北陸自動車道金沢森本ICまたは金沢東IC、もしくは金沢西ICから金沢市中心部方向へ車で15 - 25分。
公共交通機関:JR西日本・IRいしかわ鉄道金沢駅東口よりバス「兼六園下・金沢城」もしくは「広坂・21世紀美術館」下車、徒歩5分。