スポンサーリンク

政治用語

開発独裁って何のこと?メリットやデメリットなどわかりやすく解説!

2020年6月9日

皆さんは「開発独裁」という言葉を耳にした事はあるでしょうか?独裁と聞くと、どうしても悪いイメージが頭に浮かんできます。独裁政治・独裁国家など・・・。

ただ独裁政治や独裁国家にもいい面があるようです。それは、意思決定がスムーズに行われるという点です。

独裁者がリーダーシップを発揮しやすいので、急を要する場面では物事が素早く決定します。

では、開発独裁の場合はどうでしょう?

そもそも開発独裁とはどんなものなのか、十分理解していないという方もたくさんいらっしゃるるようです。

そこで今回は、この開発独裁につきまして分かりやすく解説させていただきます。

開発独裁とは

開発独裁とは、国の貧困状況を解消するために、工業化を政策の最優先課題に掲げ、それに反対する勢力を強圧的な手段で抑圧する政治のあり方の事です。

工業化が必要であるという世論を背景に行われ、1950~70年代の開発途上国で多く見られました。

国の工業化を優先する場合、その方針に反対するグループの意見も取り入れたうえで議論を行っていてはなかなか前に進まず、時間もかかってしまいます。

そのため、国の方針を推し進めるためには政治的な安定が不可欠と考え国民の政治参加を著しく制限し、そのうえで独裁的に方針を推し進めるというやり方が開発独裁なのです。

1980年代に入ると、多く新興地域の国々が開発独裁を行う事によって飛躍的な経済成長を成し遂げているのです。

開発独裁のメリット

では、開発独裁にはどんなメリットがあるのか考えてみましょう。

最も大きなメリットは、決定がスムーズに行われるという点です。

国会など、公の場で話し合う必要がありませんので、政府の方針がただちに実行されることになります。

また、政府の決定が明らかに正当な場合、あるいは間違いなく国民ひとりひとりの利益につながる場合には、その国と国民にとって大きなメリットにつながります。

一般的に開発途上国では、国民の知識レベルが低いという場合もありますのでその際は開発独裁が大いに国益にかなう場合があるのです。

開発独裁のデメリット

では、開発独裁のデメリットとしてはどんな事が考えられるでしょうか。

まずは、政府が何事も一方的に決めてしまう事になるので、そこに不平等が生じてしまう場合があります。

それに、多種多様な意見や案が出てきませんので、仮に政府の決定が間違っていた場合、国民にとってはたいへんな不利益が生じてしまいます。

この様な事態に陥ってしまうとリカバリーも困難を極めますので、政府の責任は重大です。

開発独裁を行っていた国

開発独裁は、主に一党独裁政権や軍事政権によって行われており、世界各国で行われました。では、どのような国が開発独裁を行ったのか見てみましょう。

韓国

お隣の国韓国では、1963年から1979年まで大統領として国を治めた朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が、開発独裁を行っていました。

朴正煕大統領は、反共産主義を掲げ軍事政権を樹立し、独裁政権を築きます。

そして低賃金を維持しつつ、外国企業を積極的に誘致しました。そのうえで、輸出を強化するために工業製品の生産に注力するという政策を強力に推し進めたのです。この政策が功を奏し、韓国は漢江の奇跡と呼ばれる経済発展を成し遂げます。

そして、これと同じ手法が台湾やシンガポール、それに南米の国々でも用いられるほど評価されることになります。

その結果、当時の韓国においては国の経済に大きく貢献したという事で、開発独裁は国民からたいへん大きな支持を集める事になります。

ただ、韓国の開発独裁の成功は、ベトナム戦争の特需が大きく影響したという見方もあります。

さらに、政権と深い関りを持つ財閥を大きく成長させる結果となります。

そのため、一部の財閥だけが外国資本を優先的に取り込み、利益をひとり占めにしてしまうという構図を招いてしまったのです。

この財閥の存在は、現在も韓国社会の問題となっていて、世界各国から開発独裁の弊害として注目されています。

インドネシア

ジャカルタの写真素材|写真素材なら「写真AC」無料(フリー ...

1968年大統領に就任し、その後30年に渡ってインドネシアを治めたスハルト大統領もまた開発独裁を行った事で知られています。

スハルト大統領は国民の自由や政治への参加を徹底的に抑制し、自らが国軍と官僚を率いて開発独裁を行いました。

もともとインドネシアは豊富な原油資源に恵まれていますが、世界の原油価格の変動によって経済が大きく影響を受けるという課題がありました。

その課題を解決するために工業化を推し進め、過度に原油に依存したインドネシア経済の構造転換を図ろうとしたわけです。

しかしながら、アジア通貨危機の影響を受け政治・社会の混乱を招き大統領辞任に追い込まれます。

こちらもCHECK

アジア通貨危機ってどうして起こったの?原因やその後について解説!

アジア通貨危機は1997年にタイを中心として、アジア全体に通貨下落が起こった現象です。これによりタイだけでは無く、フィリピン・インドネシア・マレーシア・韓国・香港などの広範囲経済に大きな打撃を与えまし ...

続きを見る

そして辞任後も、自らが大統領就任時に行っていた身内への不正な利益供与によって法的責任を追及されています。

しかしながら、スハルト大統領が既に高齢であった事と、健康面で不安を抱えていたため刑事訴追は免れています。

そして、スハルト大統領は自らが招いた混乱の責任を取ることもなく、国に多大な損害をもたらした大統領として、今でも語り継がれているのです。

シンガポール

マレーシアの南にあるシンガポール。観光などで人気ですがこのシンガポールはリー・クアンユーとその息子のリー・シェンロン政権が2020年現在も継続してシンガポールを独裁体制で統治しており、別名として『明るい北朝鮮』といわれています。

明るい北朝鮮って何だか物騒な名前ですがようするに独裁体制ということ。シンガポールは元々交易の拠点であることに加えて、華僑などの力を借りながら経済基盤を構築していき、シンガポールは今では東南アジアどころかアジア全体でも引けを取らない経済大国へと成長を遂げており、世界でも指折りの信頼できる国として評価されています。

ちなみに独裁といえば汚職がつきものですがシンガポールの汚職の少なさは世界トップクラス。日本を抜いてアジア1位であり欧米以外では最も政治腐敗の少ない国家だそうです。すごいですね。

しかし、独裁体制に不満を持つ人はもちろん一定数いて、2011年の総選挙においては与党の人民行動党の得票率は60.1%と独立後最低を記録するなど若者を中心に政治に不満を抱く層が増えていきほころびが見え始めていることもチェックしておかなければなりません。

開発独裁の行く末

1970年代に入ると、各国で開発独裁への批判が高まり、次第に民主的な政治を求める気運が高まります。

そして、1990年代以降は一部の国を除いて、開発独裁を行う国は無くなりつつあります。ただし、現在でも中国は民主化とはほど遠い状況にあり、未だに開発独裁を継続していると見ている専門家もいるようです。

グローバル化が進む現在では、開発独裁という世界標準とは言えない政策を取り続けるのは無理があると言わざるを得ません。中国が現在抱えている各国との摩擦を見れば、そのことは明白です。

他の国とその国民が豊かになれば結果的に自国にもいい影響をもたらす、このような意識を持ってのぞまなければ今後の国の有り方を見誤ってしまうことになりかねません。

私たち日本も、大きな岐路に立たされているようです。

スポンサーリンク

こちらもおすすめ!

1

ニュースや新聞で世界情勢の話題になったとき、「国際連合」というワードを聞いたことはありませんか?最近でいうと昨年、環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんが各国首脳の前でスピーチして話題になりました。中学 ...

2

1914年から1918年にかけてヨーロッパでは第一次世界大戦が繰り広げられていました。 そしてこの戦争はヨーロッパの体制を根本から崩すこととなり、現在にもつながる影響も残すことになったのです。  今回 ...

3

世界の政治体制は、それぞれの国によって違っています。同じ民主主義国家でも、国によって大統領制をとっている国、議員内閣制の国と、政治体制の採用が違っているのです。 日本は、御存じの通り、議院内閣制を採用 ...

-政治用語
-, ,

© 2021 レキシデセカイ Powered by AFFINGER5