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一票の格差はなにが問題?問題点や解決策についてわかりやすく解説!

よく、選挙が起こるたびにニュースで耳にする、『一票の格差』という言葉。

では一体、この『一票の格差』とは何を意味する言葉で、どのような問題点があるのか。また、問題点があるとしたらどのような解決策があるのか。今回は今の日本の投票の問題である一票の格差について解説していきます。

同じ『一票』なのに差が出てしまう

選挙では、有権者が投票を行い、一番得票数の多い候補者が当選します。ここまでは誰もが知っていることだと思います。
しかし、選挙が行われる場所(選挙区)の人口の多少によって本来平等であるはずの一票の価値に差が生まれてしまうことがあります。これを、『一票の格差』といいます。

簡単な例をあげてみましょう。
まず、人口100人のA市と人口1000人のB市という2つの自治体があったとします。
その2つの自治体で市長選が行われ、どちらの自治体からも3人の候補者が出ました。

A市の候補者をそれぞれ C、D、E
B市の候補者をそれぞれ F、G、Hとします。
そして選挙の結果はこのようになりました。

ポイント

A市市長選 C氏→50票 D氏→40票 E氏→30票
B市市長選 F氏→500票 G氏→400票 H氏→300票

当然A市ではC氏、B市ではF氏が最多の得票を得たので市長になります。
しかしこの票数と結果、何か違和感を感じませんか。
そう、A市から出馬したC氏は50票を得て市長になったのに、B市で出馬したH氏はC氏の6倍に当たる300票を得たのにも関わらず、最下位で落選してしまったのです。一票の価値が平等であるとするなら、このような事態は明らかに不自然です。

これが、『一票の格差』です。

一票の格差の問題点

『一票の格差』というものがどのようなものなのかはこれで理解していただけたと思います。
では、『一票の格差』によって生まれる問題点とは何でしょう。

違憲状態である

まず第一に法的な問題があります。日本国憲法には、14条1項にこのような条文があります。

メモ

日本国憲法14条1項

『すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により政治的、経済的又は社会的関係において差別されない。』

ここで言う「法の下の平等」には当然選挙の際の一票の価値も含まれます。なので、一票の価値に格差が生じている選挙は憲法に反しているとも言えるのです。実際、そのような主張で選挙の無効を求めて裁判を起こした人もいます。
これについて裁判所が出した答えは『「違憲状態」ではあるが無効にはしない』でした。

これは一体どういう意味なのでしょうか。

つまり、裁判所も現在の選挙には選挙区ごとに一票の価値が異なり、法の下の平等に反している状態であることは認めたのです。
しかし、選挙を無効にしてしまうと選挙をまたやり直さなければならず、それには費用も時間もかかってしまいます。

また、政治にも大きな空白が生まれてしまうので、それを避けるために裁判所は選挙の無効までは認めなかったのです。

ただ、違憲であることには変わりがないので裁判所としても「一票の格差が無くなるように国会で手段を講じること」と要望を出しています。

政策に関する問題

次にあげられる問題は政策において生じる問題です。

そもそも何故選挙を行うのか。それは有権者の意思で代表を選ぶことで、有権者の意思を政治に反映させるためです。

しかし、一票に格差が生じていると適切に有権者の意思が反映されにくくなってしまうのです。

例えば、先程の例であげたことからも分かるように、一票の価値が相対的に重くなるのは、人口の少ない自治体です。

そして現実の日本でそのような人口の少ない自治体というのはほとんどが過疎化が進んで自治体内における高齢者の人口の比率が高い地域です。

そのような地域で当選しようと思ったら、必然的に高齢者に受けの良い公約やマニフェストを出していく必要があります。

結果として、そのような政策を掲げる候補者が当選することで若者がそれを嫌って自治体から出ていってしまい、ますます過疎化が進むという悪循環が生まれてしまうのです。

『一票の格差』の解決策

ここまで、『一票の格差』がもたらす問題点について解説してきました。ではこの状態を解決するにはどうすればいいのか。
ここでは、その手段のそのメリットとデメリットについて解説していきます。

選挙区を統合・分割

まず第一は選挙区を統合・分割することです。
旧来の選挙区を統合したり、分割することで選挙区内の有権者人口をできるだけ均等になるように調整し、一票の格差を無くしていこうという考えです。

メリットをしては大きな法改正をすることなく、既存の選挙制度の中で行えるので比較的速やかに行うことが出来ることです。
しかし、デメリットも多いのがこの方法。

まず、選挙区内の人口をできるだけ均等に分けるということですが、世の中には狭くて人口の多い都市部や広さの割に人口の少ない農村部などが存在します。
そのような状態で人口を均等にしようとすると、人口が少ない農村部の選挙区が極端に広くなってしまい、候補者が選挙区全てを回りきれなくなる可能性があります。

また、選挙区が変わることで候補者と有権者との間の繋がりが切れてしまい、再び選挙活動をやり直すことになるなど候補者にとって様々な負担が増えてしまいます。

また、有権者にとってもそれまで利用していた投票所から違う投票所に変わる可能性があるという形で負担が増えます。
また、地域の人口というのは災害その他の理由で大幅に増減することもあり得るので、改定した当初は均等だった選挙区ごとの人口がいつまでも同じままとは限りません。

むしろ、同じままという方が珍しいケースでしょう。そうなると頻繁に選挙区の改定をする必要が生じてしまいます。

アダムス方式の導入

このように問題点が多い選挙区の改定に変わって、いま新たに注目されているのは「アダムズ方式」と呼ばれる議席の分配法です。
これは、第6代米大統領アダムズが考案したとされる議席の配分方法の一つです。

細かい計算方法は省きますが、各都道府県の人口を同じ数値で割ることで出た数字(定数)の合計が全国の衆院議席数とほぼ同じになるように調整する方式です。
こうすることで、各都道府県ごとの人口の比率が議席数に反映されるようになり、地域ごとの人口差によって生まれる一票の格差を大きく縮めることが出来ます。

日本では、2016年5月の国会で衆議院選挙制度改革関連法が成立し、衆議院定数を「0増10減」すると共に、2020年以降の選挙で議員定数を人口に比例して配分するアダムズ方式を導入することが決まりました。

しかし、アダムズ方式にもデメリットはあります。

それは、一票の価値に重点をおいて議席数を配分するために、人口の多い都道府県に多くの議席が配分されるようになり、今度は都市部と地方との間に議席数の格差が生じてしまうという点です。

終わりに

ここまで、『一票の格差』という状態について、そしてその問題点及び解決策について解説してきました。本来は同じ価値を持つはずの一票に格差が生じてしまうのは、選挙制度の意義を歪めてしまうことになってしまいます。
不健全な選挙は、巡り巡って社会やあなた自身に何らかの不利益をもたらすでしょう。『一票の格差』が正されるべきものなのは言うまでも有りません。
しかし、どの解決策にもメリットとデメリットがあり、一概にこうすれば全てが良くなるという方法はありません。
だからこそ、選挙の結果だけでなく、そのシステムにも関心を持つことが重要だと言えるでしょう。

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