スポンサーリンク

豆知識

なぜ香港ではデモが起きているの?香港の政治制度について解説!

2020年6月11日

昨年、逃亡犯条例改正案の反対をきっかけにデモが発生した香港。

多くの逮捕者が出るなか、デモはどんどん拡大していき現在も続いています。

このデモ発生の背景には香港の独特な政治背景が関わっています。

現在、間違いなく大きな岐路を迎えている香港。今回はそんな香港の政治体制について解説します。

イギリスからの返還

イギリスの植民地時代の香港国旗

実はもともと香港は150年間に渡って、イギリスの植民地でした。

そして1997年に香港はイギリスから中国へ返還されることとなり、そこから現在の香港が形作られていくのです。

しかし植民地だったとは言え、イギリスの植民地の元香港は活気ある貿易港となり経済は発展しました。

政治的にも経済的にもかなり自立しており、もはや国と言ってもいい発展を遂げていたのです。

そんなとき、明日からいきなり別の国になると言われたら様々な混乱が起こってしまうでしょう。そこでイギリスと中国は一国二制度という知恵を使って、香港をスムーズに移行させようとします。

一国二制度

この一国二制度とは「香港返還後50年間政治体制を変更しない」という確約で、期間は1997年〜2047年まで有効とされています。これはミニ憲法と呼ばれる香港基本法で定められており、具体的には外交・国防問題以外では香港自身が自治をするというものです。そのため香港は特別行政区とされ、独自の法制度や国境も持ちます。

こちらもCHECK

最近問題となっている一国二制度や香港の問題について解説!

2019年に始まった香港の民主化デモ。2020年に入っても終息の兆しは全く見えていません。一見すると単なる政治的な要求だけに見えますが、実はその裏には香港独自のシステムや制度が関連しているのです。 今 ...

続きを見る

また表現の自由は保障されており死刑制度もありません。それは政治制度に関しても同様で独自のシステムを持っています。順番に見ていきましょう。

①行政

日本の総理大臣にあたるのが行政長官と言われる人物。

行政長官は日本の閣議にあたる行政会議を行い政策を決定します。さらに行政長官の下には3司長と呼ばれる政務・財政・法律のそれぞれの分野で行政長官の職務を代行する3名が存在します。これは日本でいう官房長官や副総理大臣に該当するでしょうか。そして日本の省庁に相当する12の決策局と呼ばれる組織が存在しています。

先ほどの行政会議はこの3司長と11局長、15人の政府外メンバーによって運営されます。

②立法

法律は全70議席で構成される立法会で決定されます。これはもちろん日本でいう国会ですね。

しかし日本の国会と違う点は、一院制であるということ、そして半分は直接選挙ですが、もう半分は職能団体選挙という職能団体内から代表を選出するという点。

各区には区議会も存在しますが、法令を制定する権限はなく、あくまで諮問機関として位置づけられています。

③政党

香港ではミニ憲法である香港基本法によって、集会の自由や結党の自由が認められています。

そのため中国本土と異なり、ある程度の政党政治が実現しています。

しかし一方で完全な政党ということでもないのです。というのも、政党を定義する法律が存在しないため、多くが会社法に基づく登記をおこない活動しているのです。

そのため他の政治団体との区別が曖昧になってしまっているという問題もあります。

④司法

司法は香港基本法により本土からの独立が定められており、基本的にイギリス統治時代の法体系を継承しています。イギリスから中国へ返還された際に終審法院が設置され、これは日本の最高裁判所に当たります。裁判は三審制で、日本でいう高等裁判所、地方裁判所、刑事裁判所などが存在します。

同時にアメリカなどでも採用されている陪審員制度も存在します。警察も香港が保有しています。映画などでよく見る香港警察です。

中国政府から影響

それぞれの政治制度でおわかり頂けるように、香港は香港基本法に基づき、外交と軍事以外は完全な国家として存在しています。それは国民レベルでも同じ認識です。

実際に香港大学が行った調査によると、自分は中国人だと考えている人は15%程度しかおらず、ほとんど人は自分は香港人だと考えているとのことです。

香港は法的にも社会的・文化的にも独自の発展を遂げてきました。ある日突然中国の一部となったとは言っても市民的にはいまいちピンとこないのかもしれません。あくまで香港は香港だと。

しかしそんな独立的な香港の自由が近年奪われつつあります。それが本土中国政府による政治に対する介入です。

例えば、行政長官の選出は1200人からなる選挙委員会から選出されますが、この人数は有権者の6%に過ぎず、その構成は中国政府よりだと言われています。

また立法会への議員選出も職能団体選挙を併用している影響もあり、親中派の議員が多く選出されたり、反中的な行動をとった議員が議員資格を剥奪された例もあります。政党においては、政党は会社法による活動を行っているため、反中的な党は党員名簿が公表され、不当な扱いを受ける可能性も言及されています。

このように政治制度の仕組みを利用して香港政治に介入しようとする動きが見られているようです。

果たして香港の政治制度は完璧ではないのでしょうか?

二つのデモ

もちろん市民も黙ってこの状況を見ているわけではありません。中国政府の動きに対して近年、香港市民によるデモが活発化しています。

代表的なのが2014年の雨傘革命と2019年から今も続いているデモです。香港の政治制度に対する二つの大きなデモについて紹介します。

①雨傘革命

雨傘革命は2014年に発生した、行政長官選挙に対するデモです。行政長官は先ほども述べたように一般市民による直接選挙ではなく、各種議会や産業界など、中国に近い人たちで構成される選挙委員会で決定されていました

そのことに市民からは多くの不満が募り、その声に応えて中国政府は直接選挙を実施するとしましたが、立候補自体は依然として親中派にしか開かれておらず、このことに対して多くの市民が抗議したことで始まりました。

このデモは国際的にニュースになるほどに注目を集めたものの、デモ隊の内部分裂なども生じて、次第に収束していきました。結局その後、行政長官選挙は今まで通りの仕組みで行われることとなるのでした。

②逃亡犯条例改正案デモ

そして昨年、再び香港ではデモが発生しました。発端は逃亡犯条例改正案という法案を巡る抗議でした。逃亡犯条例改正案は香港の人間でも中国に引き渡すことができるようにするという法案です。

つまり中国に不都合な人間がいたら例え香港でも中国本土と同じように逮捕することが可能になるのです。香港基本法で少なくとも2047年までは保証されていたはずの自治は、いつのまにか中国に左右されつつあったのです。

これに対し、危機感を感じた香港市民は抗議デモを起こし、現在もデモは続いています。

このデモの行方は香港の自由と自治に大きく関わってくるでしょう。

香港はどうなるのか

香港は世界的に見ても独特な経緯を辿ってきました。

そしてその政治体制はまだまだ現在進行形で変化しており、香港がうまくいくかどうかは世界的にも、そして日本にとっても非常に注目すべき問題となっています。

今まさに変化が起きる可能性のあるデモが発生している香港は、リアルタイムで動いている歴史と言えます。

なぜデモが起きているのか、なぜ世界から注目されているのか、その構造とこれからの香港を理解するためにも、香港の政治制度をよく把握しておきましょう!

スポンサーリンク

こちらもおすすめ!

1

ニュースや新聞で世界情勢の話題になったとき、「国際連合」というワードを聞いたことはありませんか?最近でいうと昨年、環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんが各国首脳の前でスピーチして話題になりました。中学 ...

2

1914年から1918年にかけてヨーロッパでは第一次世界大戦が繰り広げられていました。 そしてこの戦争はヨーロッパの体制を根本から崩すこととなり、現在にもつながる影響も残すことになったのです。  今回 ...

3

世界の政治体制は、それぞれの国によって違っています。同じ民主主義国家でも、国によって大統領制をとっている国、議員内閣制の国と、政治体制の採用が違っているのです。 日本は、御存じの通り、議院内閣制を採用 ...

-豆知識
-, , ,

© 2021 レキシデセカイ Powered by AFFINGER5