スポンサーリンク

世界史 日本史 経済用語

金本位制ってどんな制度?始まりからメリット・デメリットについてわかりやすく解説!

2020年8月25日

グローバル社会となった現代において、国同士の貿易はもはや当たり前のものになっています。

この貿易を成立させているのが外国為替の存在です。しかし、昔はの変動する為替相場は存在しておらず、「金本位制」という制度のもとで各国の通貨価値が保証されていたのです。今回はこの金本位制について見ていきたいと思います。

金本位制とは?

金本位制とは金を通貨の価値基準にした制度のことです。金本位制の下で発行される紙幣は一般に各国の中央銀行(発券銀行、日本では日本銀行)が発行する銀行券であり、中央銀行は同額の金を保有しなければなりませんでした。発行された紙幣が信用される根拠は、中央銀行が兌換を保証することにより、金と同じ価値をもつものとして流通させました。

金本位制のはじまり

昔、人々は物々交換で欲しい物を手に入れていました。例えば大根2本欲しいからにんじん4本と交換するような感じです。ですが、欲しい物が手に入らない時もありますし、第一にとてもかさばります。そこで登場したのが貨幣制度です。 おかげで物と物との交換手段が容易になりました。
当時の貨幣には希少価値の高いレアな金そのものや銀そのもの(日本では大判、小判)を使用していました。それでも当時の人々はまた考えました。かさばるなぁと。そこで1816年にイギリスで金本位制が制定されました。金1オンス=約3.17ポンドでした。当時産業革命により世界経済の中心であったイギリスから金本位制はイギリスの貿易拡大政策もあって世界中に広がっていきました。

なぜ「金」本位制なのか?

当時、イケイケだったイギリスは大量の商品を世界中に輸出したかったのですが、他国の通貨の価値は国によってバラつきがありました。そこでイギリスは世界で共通の価値を持つ金に目を付け、各国が貨幣との交換を保証することのよって安全に取引できると考えました。これに対して各国は、世界経済の中心であるイギリスとの貿易をするために、金本位制をどんどん導入していきました。そしてイギリスの目論見通り、共通価値をもつ金のおかげで通貨の信用が高まり、安心して取引できるようになりました。

金本位制の歴史

先ほど述べたように1816年にイギリスで始まった金本位制は国際通貨制度として世界各国に広まりましたが、1914年に始まった第一次大戦によって世界各国は金本位制をストップしました。戦争によって増大した対外債務の支払いのために政府が金貨を必要としたためです。それに伴って金の輸出禁止と兌換紙幣と金の交換も禁止となります。さらに戦争によって世界経済の中心であったロンドンにある為替決済市場が停止したことと、各国の間での為替手形の輸送が停止したことも大きな要因です。
戦争によってしばらく停止していた金本位制ですが、1919年にアメリカ合衆国が金本位制を再開したのを皮切りに各国も再開しましたが、1929年に起きた世界大恐慌によって、再び各国は金本位制を停止せざるを得ませんでした。そして、1931年のイギリスの金本位制の離脱から始まり、1937年もフランスを最後にすべての国が金本位制を離脱しました。

金ドル本位制(ブレトン・ウッズ体制)の始まり

その後第二次世界大戦終戦前の1944年7月に終戦後の復興に向けて、経済活動や貿易を促進するための新しい国際通貨制度が制定されることになりました。それが金と米ドルの交換比率を定めてアメリカが米ドルと金の交換を保証する米ドル金為替本位制(金ドル本位制)です。
また主要国の代表がアメリカのニューハンプシャー州ブレトン・ウッズにて会合したことブレトン・ウッズ体制とも呼ばれています。他の国の経済が戦争の影響によって疲弊する中、世界大戦をうまく立ち回ったアメリカは世界で最も多く金の保有量を誇っていたので、米ドルの価値を基準として為替相場が固定化されました。当時の円の価値は1ドル=360円でした。これを固定相場といいました。この固定相場を維持するために、各国にはドル相場の変動幅を1%以内に抑えるように各国の中央銀行が為替取引に参加し、相場を安定化することが義務付けられていました。政治・経済の中心はイギリスからアメリカに移り、当時、世界中に流通していた通貨の中でも米ドルが信頼性が最も高く、世界中の貿易決済に使われる基軸通貨になったのです。
1971年8月、米ドルの金交換に応じられないほど米国の金保有量が減ったことにより、戦後の金とドルを中心とした通貨体制を維持することが困難になったことにより、いわゆるニクソン・ショックが起きました。

ニクソン・ショック以降は金と米ドルの兌換が停止される事態になりました。そしてこのニクソン・ショックによる兌換の一時停止は他国にも事前の通知等は無い中での突然の発表で、極めて大きな驚愕とともに、その後の世界経済に大きな影響を与えました。
1976年1月にジャマイカのキングストンで開催されたIMF暫定委員会では変動相場制と米国ドルの金本位制廃止が決議され、1978年4月に協定発効に伴って先進国の通貨における金本位制は完全に終わりを迎えました。

日本の金本位制

日本銀行の兌換紙幣

1895年、日清戦争によって日本は軍事賠償金として得た金額は3億6000万円で、これは当時の日本のGNPの約2割に当たります。日本政府はそれをロンドンで英ポンド建ての小切手として受け取り、それを金塊、金貨、英紙幣に交換しました。そしてこれを金準備金に設定して、金本位制を軸とした貨幣法が施行されました。公的には新貨条例から金本位制が定められていましたが、この時点までは事実上の銀本位制で、1円=金0.75グラムとされていました。金本位制の本格的な採用によって外債の発行が容易となり、日露戦争の戦費調達のために10億円の外債を発行したほか、日露戦争の勝利で各国に対して信用が高まって社債等も海外で発行されるようになりました。
日本は第一次世界大戦の影響を受けて、日本は金輸出の禁止を行い、金本位制の停止を決定しました。金本位制の離脱により、国際収支の決算を金で行えなくなったため、為替は100円=49.85ドルの法定レートから43〜44ドルまで下落を続けました。さらに第一次大戦後の不良貸付に加えて、関東大震災が日本経済に大きな損害を与えます。
その後日本では、金本位制再開のための金輸出解禁が決定され、解禁から4ヶ月で2億円にあたる金が海外に流出しました。それに加えて国内市場の縮小や輸出産業の不振がさらに深刻となりました。こうして昭和恐慌が起き、さらに満州事変をきっかけに日本の国際的な信用は低下して資本逃避が加速しました。その後、同年9月にイギリスが金本位制を停止に続いて、日本も金本位制を停止して、再び管理通貨制度に移行しました。

金本位制のメリット

金本位制のメリットは第一に自国通貨の価値を安定させられる点があげられます。先述したとおり、金の価値は世界共通であるため、国が金と通貨の兌換を保証すれば、価値の信頼性が高まります。
さらに自国の通貨の価値が安定すると貿易収支の目処も立てやすくなり、国・企業が輸出を積極的に行うことが可能になり、為替変動に神経をすり減らす必要がないので、国際的なビジネスを行っている企業にとっては管理が楽になります。
これが一番のメリットかもしれませんが、金本位制であれば、もし、国の信用がなくなって通貨と金と価値が結びついておるので、通貨価値が下落することはありません。

金本位制のデメリット

金本位制のデメリットは、交換に応じられる程の金を保有しなければならない点です。

金本位制では、「通貨が金と交換できる」という価値保証によって成り立っています。したがって、この交換に応じられなくなると金本位制そのものが成立しなくなります。そのため国や中央銀行では金があるのと同じぐらいの紙幣しか刷ることができないのです。

もちろん金というものはおいそれと貯めれるものではありません。そのためむやみやたらに通貨の発行数を増やすことができません。

こうして通貨の発行数が制限されると、国はインフレやデフレに対応できなくなるのです。

金本位制のもとでは、通貨発行数に応じた金が必要になるため、このような柔軟な対応ができないのです。

貿易赤字の時の危険性

さらに、金本位制を敷いていると、貿易収支が赤字になっている際に大ダメージを受けます。

金本位制では、「通貨=金」の関係性が成り立つ為、自国通貨の流出は、自国が保有する金の流出と同じことになります。

景気が良いときは、通貨と金が交換されることは少ないです。しかし、景気が悪化したら一気に交換される恐れがありますので、すべての交換に対応できない場合があります。

金の流出が進んだら、その不足分を補う為に、さらに金を購入しなくてはなりません。金を購入するのに、さらに自国の通貨を使うことになるため、通貨の流出が更に進んでしまうというスパイラルに陥ってしまいます。

この結果、金本位制を採用している国は自国の貿易収支をなるべく黒字にするべく、自国に有利な関税を設ける等の保護主義の貿易に走ってしまうのです。

まとめ

金本位制は、通貨と金の価値を同じにして価値を安定させるため、各国との貿易拡大政策のため安全な通貨保証が欲しかったイギリスによって始まりましたが、金本位制は世界大戦とアメリカでの世界恐慌によって停止し、ニクソン・ショックのより1976年に完全に廃止となりました。現在、世界では中央銀行によって自由に紙幣を発行することができる不換紙幣が主流になっています。

スポンサーリンク

こちらもおすすめ!

1

ニュースや新聞で世界情勢の話題になったとき、「国際連合」というワードを聞いたことはありませんか?最近でいうと昨年、環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんが各国首脳の前でスピーチして話題になりました。中学 ...

2

1914年から1918年にかけてヨーロッパでは第一次世界大戦が繰り広げられていました。 そしてこの戦争はヨーロッパの体制を根本から崩すこととなり、現在にもつながる影響も残すことになったのです。  今回 ...

3

世界の政治体制は、それぞれの国によって違っています。同じ民主主義国家でも、国によって大統領制をとっている国、議員内閣制の国と、政治体制の採用が違っているのです。 日本は、御存じの通り、議院内閣制を採用 ...

-世界史, 日本史, 経済用語
-, ,

© 2021 レキシデセカイ Powered by AFFINGER5