世界の物事を強烈に風刺し鋭く批判している風刺画。世界史や日本史の教科書で見て強烈にインパクトを受けた人も多くいるのではないでしょうか?
今回はそんな風刺画にスポットライトを当てていろんな世界史の物事を見ていきたいと思います。
今回は日露戦争について。日本が列強の仲間入りのきっかけとなった戦争ですが、この時世界はどう見ていたのでしょうか?
日英同盟と日本
CLUBと書かれた部屋に下駄を履いた日本人が入ってくる様子。
この風刺画は1894年に日清戦争に勝利した日本がイギリスと日英同盟を結んだ頃に書かれた風刺画です。
一見してみるとなんともないように見えますが、ヨーロッパの列強諸国(右)の表情は呆然そのもの。まぁ、ヨーロッパしか列強諸国がなかったこの当時アジアの日本が入ってくるのは違和感極まりないことだったのでしょうね。
個人的には一番左のオーストリアの表情が好きです。
ちなみに日本人の影に隠れているのはイギリスで、なんか偉そうにふんぞりかえっているのがロシア。いかにもイギリスは悪だくみをしそうな顔ですね。
火中の栗
栗を煮ているコサック兵(ロシア)を取りに行こうとする日本人。
これは日露戦争が始まる1年前の1903年に発表された火中の栗という風刺画。
日本人の後ろにいるのはイギリス人とアメリカ人でイギリスが日本人に対して「さっさとコサック兵から栗(朝鮮)をとれ!」とせかしています。
イギリスはロシアの南下政策をどうにかして止めねばと考えており、当時アジアで急成長していた日本をロシアの抑えに利用しようと考えていました。
日本もロシアが南下するのは危険と思っており1902年に日英同盟が結ばれましたが、新聞はこれを「イギリスが日本を利用している」と思ったのでしょうね。
ロシアと闘う日本
ものすごく強そうな人を背後から襲っている図。これも日露戦争に関する風刺画です。
この作品の作者はビゴーという人。この人は明治時代の日本をとにかく風刺している人で教科書には絶対に彼の作品が載っています。一回探してみてね。
さて絵の説明なんですが、左の強そうなのはやっぱりロシア。それを襲っているのは日本。その後ろでイギリス人が肩を持って日本人が襲うのを手助けしています。
後ろでニヤついているのはアメリカ。なんか反応しなさいよ。
これも要するにイギリスに利用されている日本を風刺した絵となっています。要するに日本はイギリスに利用されていると思われていました。
増税になく国民
増税と書かれたなんか重そうな荷物を持っているおじいちゃん。可哀想なことに泣いています。この作品は日露戦争の頃の漫画雑誌『東京パック』の一作品です。
日露戦争の時代。日本は軍備を維持・増強させるために大量の軍備を国内外から徴収。16億円という当時の日本の国家予算60年分をかき集めるために日本国内では生活必需品にどえらい税金をかけてなんとか戦争に挑んだのです。
おじいちゃんの後ろには戦争に貢献したとされているいろんな人の姿が描かれており、一部の政治家や団体は戦争に貢献したとして 勲等”を与えられたと描かれています。しかし、その活躍を陰から支えているのは国民の税金というわけであり、戦争を続けるための増税を批判しているのです。
ちなみに、日露戦争で日本は賠償金を獲得することができず、南樺太の獲得や関東州の租借、そして南満州鉄道の経営権を獲得することに成功したのですが、まぁ、割りに合わないですよね。
その後日本では日比谷焼き討ち事件が起こったりするなど混乱が生まれながら、かろうじて手に入れた南満州鉄道は10万の生霊と20億の戦費で手に入れた日本の生命線として認識されていくことになります。
日露戦争のヨーロッパでの視点
日露戦争は新興国である日本と北の大国ロシアとの戦争であったため、基本的にはどこの国も日本はロシアにやられてしまうという見方が強くありました。
しかし、日本は判定勝ちではあるものの日露戦争で勝利。日本は列強の一国として活躍し始めることになるのです。