現在、日本では議院内閣制が採用されています。
アメリカではトランプ大統領からわかるように、大統領制が採用されていますね。
このように国によって政治制度は違うのですが、ドイツの政治制度はどのようになっているかご存じですか?
アメリカや、中国、韓国、北朝鮮などの話題はニュースになりますが、あまりドイツの事をテレビでも扱っていないので、分からない人も多いのではないでしょうか?
そこで、今回はドイツの政治制度についてご紹介していきましょう。
この記事の目次
ドイツの政治体制の特徴とは?
1949年のドイツ連邦共和国基本法の署名部分
日本の憲法に当たるドイツ連邦共和国基本法が、西ドイツ時代の1949年に制定されています。
当初は東ドイツとの統一までの仮の名前として、基本法と呼ばれましたが、東西ドイツが統一された今でも憲法とは言われていません。でもずっと基本法のままじゃないかと思います。(今更変えてもね・・)
現在のドイツの政治目標としては、ナチス・ドイツ時代の反省とワイマール共和国時代の教訓を元に、「民主的な福祉国家の建設」を定めています。
ナチス時代には、国民投票・住民投票で合法的に独裁を行ったという反省から、直接民主主義的要素を排除し、間接民主主義による政治を徹底している行っているのが特徴ですね。
またワイマール共和国時代に観られた、小政党乱立と極右・極左精力の議席獲得を阻止しています。過去の反省が活かされているというのは、素晴らしいですよね。大統領に巨大な権力を与えて、それをヒトラーが利用したのが問題だったので、現在も大統領は存在しますが、あくまで儀礼的な存在です。
実質的な国家のトップは首相になりこの辺は何となく日本に似ていますね。
ドイツは議員内閣制!大統領はお飾り?
ドイツは日本と同じ議員内閣制を採用していました。
実際、ドイツには大統領が存在しますが、象徴的な存在に過ぎないため、一般的には議員内閣制に分類されています。
大統領は国家の顔だけど、政治権力者としないということですね。
その代わり、中立的な立場から、様々な場面で調整者としての役割をになっていますし、連邦議会の解散権も持っています。大統領の選出方法ですが、連邦会議によって行われます。
この中から、選ばれた人間が大統領になり、任期は5年、再任は1回のみ可能という仕組み。
大統領のなった人は、政党から離党しなければならず、日本で考えると衆議院議長、参議院議長みたいなものですね。
ドイツの首相(連邦首相)とは?
ドイツの首相は国民が直接選ぶわけでは無く、大統領が候補者を提案して、下院の過半数がそれを支持するか、もし過半数の支持が得られなかった場合、下院が同意すれば、その候補者が連邦首相になります。任期は4年です。
首相が選出されたら、内閣を組織しますが、これは日本に似ていますね。
大臣などを決め首相は関係各位と調整して考えて、決まったら形式的に、大統領に任命してもらいます。
ドイツの連邦議会、連邦参議院とは?

ドイツの議会は、連邦議会と、連邦参議院の二院制です。
連邦議会は議員数は603名、任期は4年、満18歳以上の国民の投票によって選出されます。
また立候補の資格は少なくとも選挙の1年以上前からドイツ国籍を有し、選挙当日に満18歳に達していることが条件になっています。
選挙方法は、小選挙区比例代表並立制で、その人数比は半数ずつ、但し比例代表の場合は、全投票数の5%以上を獲得するか、小選挙区で3名以上の当選者がいないと、議席を獲得する権利はありません。これは小さな政党が乱立するのを防ぐ役割なんですね。ナチス党もそうでしたし。
一方、連邦参議院は、各州政府によって任命された議員によって構成されています。議員数は州の人口に応じて、3~6名で、その総数は68名、任期は存在しません。
基本的には連邦議会の権限の方が強く、法律は連邦議会の過半数さえとれれば成立します。また連邦議会が可決すれば、法案成立になりますね。
日本と違うのは結構頻繁に日本の憲法にあたるドイツ基本法を改正している事ですね。ドイツは日本とは違い基本法ということで、色々と手を加えているのが特徴です。
(しかし、基本法の改正は日本では法律に含むようなことばかりであり、絶対に変えられない永久条項という条文があるためこれを理由に憲法改正を主張するのは詭弁です。)
ドイツの6つの柱!
ドイツには、大きく6つの柱があるので、ご紹介しておきます。
ポイント
民主主義:国民主権の下で政治に参加し、個人の意見を自由に述べられること
基本法:国民主権・三権分立・人権尊重
人権:人権は憲法裁判所及び欧州人権委員会の決定でも規定されている、すべての個人の自由が保障された基本幇助条項で定められています。
連邦国家:ドイツの正式名称はドイツ連邦共和国。長年の歴史の中で培われた連邦制度の下で、各連邦州は権力を持ち、国と連邦州(現在16州)は相互に管理を行うと共に、享受する国家構成。
法治国家:全ての国民は方の下に平等、とする法的な平等は地方国家の基本原則です。
社会国家:社会国家としての原則は基本法で定められている規定と重複していますが、社会国家としてのドイツ国家は、全ての国民の最低生活水準を保障するべき責務があります。
ドイツの政治体制に今後も注目!
現代のドイツは、どのような事態になってもナチス独裁政権のような政府が絶対に発生しない政治制度を作り上げることを念頭にしている様に思います。それだけ過去の反省を活かした政治制度になっているんですね。
「国家権力の原点は国民にあり、個人の権利と自由を保障する」というのが大事とされており、人間の尊重と保護を国家の義務とした上で、個人という人間の自由権や平等権が詳細に規定されているのも、ワイマール憲法が不完全だったために、ナチス独裁を許す結果になった反省になっているのでしょう。
現在は、与党で中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と,その連立相手である中道左派・社会民主党(SPD)の支持率が低下し、環境政党の緑の党、及び右派ポピュリスト政党であるドイツの為の選択肢(AfD)の躍進が目立っています。
2021年10月に控える次期連邦議会選挙では何か新しい動きがあるかもしれせんし、注目していきましょう。