いま目覚ましい経済発展を遂げている東南アジア。今ではASEANといった期間も組織されており、さらなる発展が期待されています。
その東南アジア中でも特に経済の発展が著しいのがベトナム。
ベトナムはかつてはベトナム戦争や中越戦争などといった戦争に明け暮れていましたが、果たしてどうしてここまで成長を遂げることができたのでしょうか?
今回はそんなベトナムのドイモイ政策について見ていきたいと思います。
ドイモイ政策とは?
1986年のベトナム共産党第6回党大会で提起されたスローガンであり、新たな経済、社会建設のための政策のことです。これによってベトナムは大きく経済が成長しました。ドイモイはベトナムの言葉で刷新を意味する事です。
ドイモイ前のベトナム
東南アジアのベトナムはかつて北緯17度で分裂しており、そのうちの北側で北ベトナムとして社会主義国家として独立を果たすことになります。
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その後ベトナム戦争では分断された南ベトナムもベトナム戦争でいわゆる解放が行われることとなり、1976年に南北ベトナムが統一。ベトナムは完全に社会主義国家となることになります。
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こうして社会主義として成立したベトナムでしたが、もちろん社会主義国家ですので集権的な管理体制を取っていました。
例えば、食事は配給制で国民1人1人に食事が配られる方針を取っており、経済は政府が主導で行う計画経済だったのです。
しかし、これでは競争が起こらず全く経済成長がすることができない。
こうしていくうちにベトナムは一人だけ成長から取り残されることになるのでした。
ドイモイ政策の取り入れ
そういった中央集権的な管理体制を是正して、市場経済システムを導入して対外開放政策を導入したのがドイモイ政策です。
ドイモイには以下の4つのスローガンがありました。
次はこのドイモイの内容について見ていきましょう。
社会主義経済の緩和
中国の改革開放政策と同様に、農業や企業に自主経営権を与えて市場経済を導入しました。
人々は自分の欲しい物を自分のお金で購入するようになり、私有財産が認められました。
そして外国の企業を誘致して外資を入れて、ベトナム経済は一気に活性化したのです。
国際社会への復帰
ベトナムがもう一つ抱えていたのが国際社会の孤立でした。
ベトナムが1975年にベトナム戦争に勝利したのはいいものの、周辺諸国とのいざこざは続いており、カンボジア侵攻や中越戦争などが起こり国際社会から孤立していたのです。
しかし、ソ連が潰れる少し前の1991年6月27日にドー・ムオイがベトナムの実質的なトップである共産党書記長に就任。
そしてベトナムを元々植民地にしていたフランスと和解。そして1995年7月にはベトナム戦争で泥沼の戦争を繰り広げていたアメリカとの関係が改善し、アメリカのクリントン大統領がベトナムの国家の承認と外交関係樹立を発表。1995年8月5日にベトナムとアメリカが和解したのです。
これによりアメリカとの関係最善を成し遂げたベトナムは1995年にASEANに加入する事となります。
ASEAN諸国は経済発展を目的としているため、社会主義の特色が強い国家は加入が認められていなかったのです。
ベトナムドイモイ政策により、経済成長を遂げてASEANに加入する事となりました。
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ベトナムの成長
ドイモイ政策によりベトナムの経済は一気に活性化していくことになります。
ドイモイ政策の実施までは米の輸入国であったベトナムでしたが、1989年には一転、世界3位の輸出国へと変貌を遂げています。農民は自分が生産したものを自由に売ることができるようになったため農業にも市場原理が働き、輸出国へと発展したのです。
さらにはホーチミンやハノイを中心に経済化も推し進められていき、 都市部を中心に工業化が進んでおり、1992年以降は年平均成長率が8%を超え、2000年から2010年にはベトナムのGDPは倍になりました。
しかし、問題も浮き彫りとなっていきハノイやホーチミンでは車やバイクの排気ガス、工場からの有害ガスの排出によって大気汚染、水質汚染、土壌汚染などが問題となっています。
いま有望な市場としても注目され始めて来ているベトナム。日本と肩を並ぶ時までそう遠くはないのかもしれません。