皆さんは、「BRICS」という言葉を聞いたことがありますか?
何かの略語?団体?まさかの何かのキャラクター名?初めて聞くあなたにも分かりやすく説明していきましょう。BRICSを知ることで、今後の世界を考える機会になるかもしれません。
BRICSとは何なのか?
今日において経済の発展が著しい、ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)、南アフリカ(SouthAfrica)の5か国の総称です。
その頭文字をつなげた造語でBRICS(ブリックス)とよばれており、「BRICK(レンガ)」を文字っています。
BRICSの誕生
アメリカの証券会社ゴールドマン・サックス社の経済学者であったジム・オニール氏が2001年に発表した投資家向けレポートで、「21世紀は人口規模の大きい国々が高い成長をとげていくであろう」と予測し、ブラジル、ロシア、インド、中国の4か国の総称としてBRICsと命名して、2011年には南アフリカ共和国が加わってBRICSとなりました。
またゴールドマン・サックス社により2050年にはGDP(国民総生産)が中国、アメリカ、インド、日本、ブラジル、ロシアの順になると予測されました。
それは各国が、広大な国土であること、労働力の源となる人口の規模が大きいこと、原油や鉄鉱石など産業には欠かせない天然資源が豊富であることが理由です。
このようにBRICSは伸びゆく経済の途上国として、各国からの多大な関心を集めることとなりました。
BRICSの発展と日本
「今後10年で中国を中心に、世界の国民総生産(GDP)に占める割合を高める。財政や金融政策も世界経済にインパクトを与える」という見解どおり、日本がうらやむほど高い経済成長を続けました。株価上場に伴い、日本では中国株やインド株の投資信託が相次いで設定され、若い人たちを中心に多大な人気を集めました
日本との貿易関係も強化されました。最も主要な業種は自動車関連でした。BRICS国内都市部を中心にマイカーブームが起き、道路などのインフラ整備が進んだことにより、トヨタや日産など当時の有力な自動車メーカーの輸出の伸びは好調でした。
中国では意外な産業が伸びを見せました。それは化粧品関連です。
外資系企業で働く所得水準の高いOLが増えたことにより、美容意識が高まり化粧品に関心を持つ女性が増えました。当時の中国製の化粧品は、安いけれど肌が荒れる、赤くなる、化粧のノリが悪い等のトラブルがあり人気がありませんでした。
上海の女性達は多少値段が高くても、資生堂など質のよい日本の化粧品を買い求めたのです。
このように日本のGDPはBRICSによって押し上げられ、経済の拡大をもたらしたのです。
現在のBRICS
BRICS誕生から20年近くが過ぎました。
経済成長を期待されていたBRICSですが現在では、斜陽に瀕しています。2008年のリーマンショックを境に世界の金融不安が高まり、経済の形が変わりました。
2010年以降は中国とインドだけが高い成長力を持つ一方で、ブラジル、ロシアは低迷しています。鉱物資源豊かな南アフリカも、資源価格低下が経済に打撃を与えています。
そのような中でも2009年以降1年に1度、BRICS首脳会議が開かれ、自由貿易の保護、BRICS以外の国との経済交流の拡大の意向を示しています。
今後のBRICSに期待することは?
今現在新型コロナウィルスの影響により世界経済が不安定になっています。
そのような中でBRICSの外相はテレビ会議で新型コロナウィルスへの対応について会談しました。
そしてロシアの外相は、アメリカが非難している世界保健機関(WHO)を支えワクチンの開発に共同で取り組む機関を設立することを表明しました。
今、アメリカと中国、ロシアとの関係は難しい状態にあります。
しかし世界の安定と平和を求めるには、今こそBRICSが首脳会談で唱え続けてきた「平等で互いを尊重し、経済成長する関係」が必要かもしれません。
今後発展を目指すBRICSやアメリカ、そして他国はお互いに大切なパートナーであり、同時にライバルでもあります。日本が緩衝材となり各国の政治の安定を促進出来れば早期の新型コロナワクチンの発展や平和に協力できるかもしれません。
今後のBRICSとアメリカ、中国の動きに注目です。